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法人破産の重要知識

会社破産後に事業継続はできるのか?

会社の経営がうまく行かず、再建することも難しいという状況になったら、残念ながら破産を選択することになるでしょう。

そのような状態になったとしても、中には「破産後も事業を継続したい」という方がいるはずです。

もちろん「諦めたくない」という理由で事業の継続を望む方も多いかと思いますが、「年齢的に就職が難しい」などの切実な事情から継続したいという方もいらっしゃるでしょう。

会社を破産させた後に事業を続けることは、現実的に可能なのでしょうか?
破産後のライフプランを考える一助にするために、ぜひ本記事をお読みください。

1.破産後の事業停止と再開について

(1) 破産手続開始により事業は停止する

裁判所に破産の申立てをして、無事に破産手続開始決定を受けたとします。
裁判所から開始決定を受けた後は、原則的に事業を停止しなければなりません。

破産手続が始まると、会社の資産は全て裁判所の管理下に置かれます。
資産は全て売却されてお金に換えられ、債権者(お金を貸した銀行などの金融機関)への弁済に充てられます。

ここでいう「資産」は「現金」とは限りません。営業のために使っていた自動車や、製品を製造するために使っていた機械、業務に必要なパソコン、店舗・工場のための不動産など、会社が所有していたものは全て「資産」です。
これらが全て処分されるため、事業の継続は困難になってしまいます。さらに、売掛などの債権も管財人に回収されてしまうこともあります。

また、破産手続が終わると会社の法人格が消滅します。
そもそも法人破産は、法人の所有する財産をすべて処分したうえで、債権者に対して配当を行った後、法人を消滅させる手続なのです。

これらの事情から、少なくとも「同じ会社」で事業を続けるのは、現実的に不可能と言わざるを得ません。

(2) 破産後の事業開始は法規上可能

上記から、破産した後に事業を続けたいのであれば「別の法人を立ち上げる」または「個人事業として行う」ことが必要になります。

2021年現在において、破産した人や破産した会社の代表者が新しく会社を作ることを妨げる法律は存在しません。
つまり法律上、新しい会社を作るなどして事業を続けることは可能なのです(もちろん会社を作らず、個人事業で営業再開しても問題ありません)。

従来からの顧客や固定客がいる、特別な技術やノウハウがあるなどで利益を得られる見込みがある場合は、破産前に行っていた事業を再開しても良いでしょう。

ただし、事業再開の際にはいくつかの問題点があります。次の章で説明していきます。

2.会社破産後の事業に関する問題点

法人が破産しても、代表者個人が破産する必要はありません。法人と個人はあくまで別個の存在だからです。

しかし、個人が法人の債務の連帯保証人などになっていた場合は話が別です。保証人は破産した法人の債務を引き継ぐことになるからです。

もし、債務額が保証人の支払能力を超えるようであれば、保証人は自己破産などをして解決しなければなりません。

[参考記事] 会社が破産したら連帯保証人は要注意!代表者が負う法律上の義務

実際には、法人破産と同時に代表者個人も自己破産するケースが多く見られます。
代表者が自己破産していると、事業の再開・継続に大きな問題が生じます。

(1) 元手を用意するのが難しい

一部のケースを除いて、通常は起業の際に元手が必要です。
営業所を賃貸する、材料などを仕入るなど、営業のための準備や設備を整えたりしなければならないからです。

しかし自己破産をした場合、財産が大きく目減りします。自己破産によって会社破産と同じように財産が処分されてしまうからです。

破産した会社は消滅しますが、個人は破産した後も生き続けます。そのため、当面の生活に必要な限度の現金(99万円まで)、家具や家電、日用品、食料や燃料などは処分されません。
しかしそれを超える現金や、自宅を含む不動産、自動車やブランド品などの高額な財産は処分されてしまうのです(※破産者本人の名義のもののみ)。

財産が減ると、商売を始める元手が用意しにくくなるのは必然です。

パソコン1つでできるデザイナーやプログラマーなどであれば、少なめの元手で仕事を始められるかもしれません。
しかし初期費用が必要な業種は、再起業が非常に難しい可能性があります。

(2) クレジットカードが作れない

自己破産すると、その情報がクレジットカード会社や金融業者の間で共有され、「返済能力に問題がある人」という扱いになります(この状況を俗に「ブラックリスト状態」と呼びます)。

そのため、新しくクレジットカードを作れなくなりますし、既存のカードも使えなくなります。
現金がないからといってカード決済に頼ることはできないので、事業をする際にはかなりの不便を強いられてしまうでしょう。

(3) 借入・融資の審査に通らない

上記のように、自己破産後はその情報が金融業者間で共有されます。
そのため、事業資金を借りられなくなりますし、場合によっては不動産も賃貸できなくなるでしょう。

また、事業に必要な機材をリースしようとしても、リースの審査に通らない可能性が高いです。

自己破産の情報が業者間で共有される期間は5〜10年程度なので、その期間中は苦しいやりくりを強いられるかもしれません。

3.事業継続のためのポイント

事業継続の代表的な方法は、民事再生法の手続きをして、旧会社の事業を新会社に譲渡するというものです。

[参考記事] 民事再生とは|手続きの流れ

しかしこの方法は大規模な会社を想定したもので、費用が数百万円以上かかります。小規模な会社にとって現実的でありません。
小規模な会社が事業を継続するには、どういった方法があるのでしょうか?

(1) 自分で資金を蓄えて起業する

一旦会社を破産させた後で、自分で働いて資金を貯め、そのお金で起業します。

お金や不動産を借りられないなどの問題があるため、以前と同じ規模で開業することは難しいかもしれません。
しかし、例えば飲食店の場合、「貸店舗を借りられないならキッチンカーにする」などの工夫をすれば、少ない開業資金で済むことがあります。

業種ごとに創意工夫が必要になることも多いでしょう。

(2) 親族を会社代表にする

親族に会社を設立してもらう方法です。自分は設立してもらった会社に入社し、以前の事業を継続することになります。

会社を設立してもらった親族の名義であれば銀行など融資が受けられることもありますし、親族に資金がある場合は直接お金を融通してもらえるかもしれません。

このケースでは、もちろん親族に迷惑がかからないようにしなければなりません。

【営業譲渡することも考えられる】
破産手続の申立てと同時に、営業を譲渡する方法もあります。営業譲渡というと大掛かりなイメージがありますが、要は「親族等に事業を買い取ってもらい、自分がそこで働く」というものです。
例えば小さな飲食店の場合、店内にある動産を親族に売り払って営業を譲渡します。いわゆる「居抜き」のような形です。規模の大きい会社では事業の買い取りにかかるお金が膨大になりますが、規模の小さい会社であれば、何とか手の届く金額になる可能性があります。
ただしこの方法には大きな注意点があります。破産の直前に事業譲渡が行われると、裁判所が財産の隠匿や処分などに対して難色を示し、場合によっては管財人により事業譲渡の契約を取り消されるかもしれません。これを防ぐには破産手続を依頼する弁護士などと綿密に協議して、事前の調整をすることが不可欠です。
ケースごとの注意点が多い方法なので、専門家である弁護士とよく相談してください。

(3) 日本政策金融公庫などの公的支援を利用する

日本政策金融公庫には、一般の銀行などで扱いづらい案件にも対応できる融資制度があります。

例えば廃業歴等のある人に向けた「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」というものがあります。
過去に廃業したことのある個人や、そういった個人を代表者とする法人の場合、一定の条件を満たせば7,200万円を限度額とした融資を受けられます。

利率も2%台と比較的低額で、条件次第ではさらに低利率で融資を受けられるかもしれません。

日本政策金融公庫は、他にも様々なタイプの融資を行っています。

参考:日本政策金融公庫公式サイト

4.会社破産と事業の継続は弁護士へ相談を

会社を破産した後でも、法律的には問題なく会社を設立できますし、事業の再開や継続も可能です。
しかし、現実的には資金不足などの理由で事業継続ができず、そのまま諦めてしまうことになる例も少なくありません。

会社破産の手続きは複雑なため、基本的に弁護士に依頼して手続きを代理してもらうのが通常です。

もし事業を継続したいという意思があれば、破産の相談や依頼の際に「何とか事業を続けられないか?」と弁護士にお伝えください。

泉総合法律事務所は、倒産の案件についてあらゆる方面から検討し、ご依頼者様のご希望をできる限り叶える解決方法を模索します。
破産に関するお悩みは、ぜひ当事務所の弁護士にご相談ください。

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