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債権回収の重要知識

業務委託報酬が未払いになった場合の対処法

フリーランスを中心として、業務委託で働く方々にとって、期限通りに報酬が支払われるかどうかは死活問題です。

クライアント(発注者)の中には、何かと理由をつけて業務委託報酬を支払おうとしない悪徳業者も存在します。
業務委託報酬が未払いになってしまった場合に備えて、法律上とり得る対抗手段を知っておきましょう。

この記事では、業務委託報酬が未払いとなった場合における債権回収の手段を解説します。

1.業務委託報酬の未払いを防ぐための対策

業務委託報酬の未払いが発生すると、回収に多大な労力とコストを要する可能性があります。
そのためできる限り、業務委託報酬の未払いが発生するリスクを抑える対策を行っておくことが大切です。

業務委託報酬の未払いを防ぐための対策としては、以下のものが考えられます。

(1) 支払い条件・期限をよく確認する

業務委託は、口頭やメール・メッセンジャーなどのカジュアルなやり取りで行われることも多く、契約内容がきちんと詰められていないケースがよくあります。

この場合、

  • 業務委託報酬はいつ発生するのか
  • 業務委託報酬は、いつまでに支払われなければならないか
  • どのような条件が満たされれば、業務委託報酬が支払われるのか
  • 業務委託報酬の金額は、どのように計算されるのか

上記のようなきわめて重要なポイントが曖昧のままになっている可能性があります。

業務委託報酬の支払い条件・期限などが曖昧な場合、相手方に支払わない言い逃れの余地を与えてしまいかねません。
そのため、業務委託によって仕事を受注する際には、極力契約書を締結するように努めましょう。

仮に契約書を締結しない場合でも、最低限、前述の業務委託報酬に関する支払い条件・期限等については、相手方との間で入念に確認しておくことが大切です。

(2) 定期的に支払いを催促する

業務委託によって仕事を行い、成果物を納品した後も、「まだ検収が終わっていないから」などと言い訳をして、業務委託報酬の支払いを先延ばしにする悪質な発注者も存在します。

検収期限が業務委託契約で決まっている場合には、その期限が守られているかどうかを確認し、徒過している場合には定期的に催促を行いましょう。

なお、下請代金支払遅延等防止法(下請法)では、業務委託報酬の支払いは、成果物の納品やサービスの受領から60日以内に行わなければならない旨が規定されています(同法2条の2)。

そのため、下請法の適用がある取引(契約)の場合は、「下請法で定められた支払期限を過ぎている」ことを理由として、早期に業務委託報酬を支払うよう催促することも有効でしょう。

2.業務委託報酬が未払いになった場合の債権回収方法

発注者が業務委託報酬を一向に支払わない場合、法的手段を視野に入れつつ、債権回収に着手しましょう。

業務委託報酬の債権回収方法として、考えられる主な方法は以下の通りです。

(1) 内容証明郵便にて督促状を送付する

発注者が電話やメール・メッセンジャーなどでの支払い催促に応じない場合は、内容証明郵便により督促状を発送しましょう。

内容証明郵便により督促状を発送することで、発注者に対して、債権回収の本気度が伝わる可能性が高いです。

また、内容証明郵便による督促(催告)には、業務委託報酬に係る債権の消滅時効完成を猶予させる効果もあります(民法150条1項)。

[参考記事] 債権回収の消滅時効は?時効期間・完成阻止の方法

(2) 法的手段により回収を図る

内容証明郵便による督促(催告)を行っても、なお発注者が業務委託報酬の支払いに応じない場合には、債権回収の法的手段を講じましょう。

債権者である受注者がとり得る債権回収の主な法的手段としては、以下のものが考えられます。

支払督促

支払督促は、債権者の申立てにより、裁判所が債務者に対して、債務の支払いを督促する制度です。
参考:支払督促|裁判所

簡易的な書面審査によって行われるため、債権者にとっては手間が少なく利用できるメリットがあります。

債務者が支払督促を受け取った日から2週間以内に適法な異議申立てを行わない場合には、債権者が裁判所に仮執行宣言の申立てをすることにより支払督促に仮執行宣言が付され、それ以降強制執行の手続きをとることが可能になります。

ただし、債務者から適法な異議申立てがあった場合には、支払督促は効力を失って訴訟手続きに移行するため、二度手間になってしまう点に注意が必要です。

民事調停

民事調停は、調停委員の仲介の下、当事者間で民事上の紛争解決方法を話し合う制度です。
参考:民事調停手続|裁判所

民事調停を利用すると、調停委員の力も借りながら、発注者に対して業務委託報酬を支払うよう説得を試みることができます。

ただし、発注者が業務委託報酬の支払いを拒んでいるようなケースでは、民事調停を申し立てたとしても、引き続き発注者が支払いを拒否し、調停が不成立となる可能性が高いでしょう。

そのため、業務委託報酬が未払いとなっているケースでは、支払督促や訴訟など、別の法的手続きを利用する方がスムーズかもしれません。

少額訴訟

少額訴訟は、60万円以下の金銭債権の支払いを求める場合に限り利用できる、簡易的な訴訟手続きです。
参考:少額訴訟|裁判所

少額訴訟の審理は、初回期日までにすべての主張と証拠を裁判所に提出することで、原則として1回で終了するため、債権者である受注者にとっては、早期に業務委託報酬の支払いを受けられるメリットがあります。

また、分割払い・支払猶予・遅延損害金免除の判決も認められているため、債務者である発注者にとっても、柔軟な形で業務委託報酬を支払いやすい点がメリットです。

また、少額訴訟に対しては控訴が認められていないため(異議申立てのみ)、手続きがいたずらに長期化することもありません。

未払いとなっている業務委託報酬が60万円以下の場合は、少額訴訟を利用するとよいでしょう。

通常訴訟

60万円を超える業務委託報酬の請求は、少額訴訟を利用できないため、通常の訴訟を通じて行う必要があります。

通常訴訟は、裁判所の公開法廷において行われ、債権者である受注者は、証拠を用いて業務委託報酬債権の存在を立証しなければなりません。

具体的には、業務委託報酬の金額・業務委託報酬の支払い条件が成就したこと(納品、検収など)等を立証する必要があります。

発注者側も、受注者側の立証を崩す証拠を提出することが予想されます。
その後複数回の審理を経て、最終的に裁判所が判決を言い渡します。

通常訴訟の場合、判決が出るまでに半年~1年程度かかるケースが多く、手続きが長期化しやすいのが特徴です。

また、公開法廷での主張・立証には専門的な準備が必要となるため、弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

3.債務名義を得た場合は強制執行が可能

支払督促や訴訟などで「債務名義」(民事執行法22条各号)を得た場合、債務名義を用いて強制執行の手続きをとることで、業務委託報酬を強制的に支払わせることができます。

(1) 債務名義として認められる書類一覧

債務名義として認められるのは、民事執行法22条各号に列挙されている、以下の公文書です。

  1. 確定判決
  2. 仮執行宣言付判決
  3. 抗告によらなければ不服申し立てができない裁判
    ※民事保全処分の仮差押命令・仮処分命令など
  4. 仮執行宣言付損害賠償命令
  5. 仮執行宣言付届出債権支払命令
  6. 仮執行宣言付支払督促
  7. 訴訟費用等の金額を定める裁判所書記官の処分
  8. 執行証書(強制執行認諾文言が記載された公正証書)
  9. 確定した執行判決のある外国裁判所の判決
  10. 確定した執行決定のある仲裁判断
  11. 確定判決と同一の効力を有するもの
    ※和解調書・調停調書・労働審判など
[参考記事] 債務名義とは|取得方法・時効など

(2) 強制執行手続きの流れ

強制執行手続きは、強制執行の対象となる財産を特定したうえで、裁判所に対して申立てを行うことにより開始されます。

強制執行の申立てを受理した裁判所(執行裁判所)は、対象財産について差押えを行い、債務者の処分を禁止します。
その後、対象財産が不動産や動産であれば、換価・処分の後に業務委託報酬債権の弁済へ充当します。

対象財産が発注者の有する債権であれば、受注者に取立権を与えたり、転付命令によって債権自体を受注者に移転したりして、業務委託報酬債権の満足が図られます。

強制執行の手続きは、債務者(発注者)に支払いの意思がなくとも、強制的に業務委託報酬の回収を実現できる点が大きなメリットです。

強制執行に係る一連の手続きについてわからないことがある場合は、弁護士にご相談ください。

[参考記事] 強制執行の手続きを行う方法|申立書の内容・流れなど

4.業務委託報酬の未払いは泣き寝入りせずに弁護士へ相談を

業務委託報酬が未払いとなったケースでは、「回収の仕方がわからない」「少額だから回収できなくても仕方がない」などと考えて、支払われないまま泣き寝入りしてしまう受注者の方が非常に多いです。

しかし前述のとおり、未払いの業務委託報酬を回収する方法はさまざま用意されています。
またその中には、支払督促や少額訴訟のように、比較的簡易な手続き・少ない手間で利用できるものも存在します。

そのため、業務委託報酬の不当な未払いに遭ってしまった場合には、諦めずに一度弁護士へご相談ください。
依頼者のご状況に合わせて、適切な対処法をアドバイスいたします。

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