強制執行

1.強制執行とは

債権を回収するために訴訟を提起し、裁判に勝ったとします。しかし、債務者がおとなしく判決に従うとは限りません。判決を無視して支払いをしないこともあります。

そういった場合に行うのが「強制執行」です。債権者が裁判所に強制執行の申立てを行い、申立てに問題がない場合は、裁判所が債務者の財産を差押えてくれます。その後、債権者は差押えされた財産から債権を回収することができます。

強制執行は、言わば国家が債務者の財産に働きかけて、強制的に債務の弁済をさせる制度です。債権回収の最終手段として使われます。

強制執行は利用するまでの手続きが比較的難しい制度でしたが、令和2年4月1日に改正民事執行法が施行されたため、以前よりも債務者の財産を差押えしやすくなりました。

2.強制執行の種類

強制執行は「何を差押えするか」によって3パターンに分類されます。
ちなみに差押えとは、裁判所などが債務者の物や権利を確保して、債務者自身の意思で処分できなくすることを指します。

(1) 不動産執行

債務者が保有する不動産を差押えます。その不動産をどのように扱うかで、さらに2つの方法に分かれます。

1つは差押えした不動産を競売にかけて、その売却代金から債権を回収する「強制競売」です。

もう1つは差押えした不動産から賃料などを回収する「強制管理」です。

不動産は所在がわかりやすく、ある程度の価値があるため、債権を回収しやすいという長所があります。

その反面、競売や管理に手間と時間がかかるという短所も併せ持っています。

(2) 動産執行

債務者が保有する不動産以外の有体物を差押えて売却し、売却代金から債権を回収する方法です。現金も有体物なので、債務者が現金そのもの(紙幣や貨幣)を持っていれば差押えができます。

比較的迅速に債権を回収できる反面、差押えした動産の売却価格が低くなることも多く、満足な弁済を受けられないケースが目立ちます。

債務者が価値のある美術品、宝飾品などを持っている場合は有効かもしれません。

相手の事業に必要な機械や車両を差押えた場合などは、相手が差押えを解除してもらうために弁済をする効果が期待できます。

(3) 債権執行

有体物ではなく、相手の債権を差押えます。

債権の範囲は広く、相手が別の取引先に対して持っている売掛金などはもちろん、相手が労働したことによって得た給料債権、銀行に対して持っている預貯金債権なども対象です。債権執行をした債権者は、債務者の取引先、勤務先、取引銀行などから直接債権を回収できます。

不動産執行や動産執行と違って競売手続がなく、金銭を直接受け取れるというメリットがあります。

しかし相手が債権を持っているかどうかを調査することは難しく、調査により相手の持っている債権が判明した場合でも「銀行口座を差押えしたのに残高が少なかった」などの事例も散見されます。

3.強制執行をする方法

強制執行は以下の手順で行います。

(1) 債務名義の取得

まずは「債務名義」という書類を取得する必要があります。

基本的には「訴訟・調停・少額訴訟・支払督促」を経て債務名義を獲得します。

それぞれの手続で得られる債務名義の種類を以下に示します。

債務名義を得るための手続 得られる債務名義
訴訟 判決

和解調書

認諾調書

少額訴訟 少額訴訟判決

和解調書

認諾調書

調停 調停調書

調停に代わる決定

支払督促 仮執行宣言付支払督促

(2) 仮執行

債権者が勝訴しても、債務者が上訴して裁判が長期化するなどして、強制執行の実施まで時間がかかることが多いです。そこまで待っていては債権の回収が遅れ、債務者が倒産してしまうかもしれません。

そこで確定判決を利用して強制執行をする前に、勝訴判決に基づいて暫定的な強制執行を行うことがあります。これが「仮執行」です。

確定判決が出ていなくても強制執行ができますが、その後の裁判で債権者が敗訴すると強制執行前の状態に戻すため「仮」の執行となります。

仮執行をすることで迅速に債務者の財産を差押えることができますが、仮執行には裁判所による「仮執行の宣言」が必要です。

仮執行宣言は裁判所の裁量で行われるため、必ず出るわけではありませんが、金銭債権問題では仮執行宣言が出ることが多いようです。

(3) 債務名義に執行文を付与してもらう

債務名義を強制執行に使うには、債務名義に「執行文」というものを付与してもらう必要があります。

執行文とは「この債務名義には強制執行を実施できる効力がありますよ」ということを公に証明する文書です。判決などを受けた裁判所に申請して、執行文を付与してもらいましょう。

債務名義の種類によっては執行文の付与が不要なものもあるため、この手順をスキップできる場合もあります。

(4) 債務名義の送達証明申請を行う

強制執行をするには、債務者が債務名義の正本か謄本を受け取っていなければなりません。

判決等を行った裁判所に対して「送達証明申請」を行い、送達の事実を証明する「送達証明書」を取得してください。

(5) 強制執行の申立てをする

執行文の付与された債務名義や送達証明書を揃えたら、強制執行の申立てができます。

強制執行の申立書(裁判所に書式があることが多いです)を作成し、所定の手数料や切手とともに裁判所に提出します。

 

強制執行の手続きは難易度が高く、そもそも債務名義を取るための各種手続きも一筋縄ではいきません。債権回収に注力している弁護士法人泉総合法律事務所にお任せいただければ、強制執行までの手続きをスムーズに進めることができます。債権回収のことは泉総合法律事務所にお任せください。

関連するよくある質問
19 23
【電話受付】平日9:30〜21:00 / 土日祝9:30〜18:30