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法人破産手続

法人破産手続きの「廃止」「終結」の違い

法人破産手続きは、最終的に「廃止」または「終結」によって終了します。

今回は、法人破産手続きの「廃止」と「終結」の違いについて、法人破産全体の流れとともに解説します。

1.破産手続きの「廃止」と「終結」の違い

破産手続きの「廃止」と「終結」は、どちらも破産手続きを終わらせることを意味します。

その一方で、「債権者への配当が行われるか否か」という点で、廃止と終結は異なります。

(1) 廃止|配当を行わずに手続きを終了する

破産手続きの「廃止」とは、債権者に対する配当を行わずに、破産手続きを終了させることを意味します。

配当を行わない理由は、破産財団が尽きてしまったか、または配当を行わないことについて全債権者が同意したかの2通りに大別されます(詳しくは後述します)。

(2) 終結|配当を行ってから手続きを終了する

破産手続きの「終結」とは、債権者に対する配当を完了したうえで、破産手続きを終了させることを意味します。

裁判所は、債権者に対する最終的な配当(最後配当・簡易配当・同意配当のいずれか)が終了し、破産管財人が任務終了報告を行う債権者集会が終結した段階で、破産手続終結の決定を行います(破産法2201項)。

2.破産手続き「廃止」の3種類

債権者への配当を行わずに破産手続きを終える「廃止」には、「同時廃止」「異時廃止」「同意廃止」3種類があります。

(1) 同時廃止

「同時廃止」の決定は、破産手続開始決定の時点で、破産財団が破産手続きの費用を賄うのに不足することが明らかである場合に行われます(破産法2161項)。

裁判所が同時廃止の決定を行った場合、破産手続きは開始決定と同時に終了します。
そのため、破産財団の換価処分や、債権者への配当も一切行われません。

同時廃止となった場合、破産管財人は選任されないため、裁判所に納付する予納金もきわめて低額で済みます。

(2) 異時廃止

「異時廃止」の決定は、破産手続きの途中の段階で、破産財団が破産手続きの費用を賄うのに不足することが明らかとなった場合に行われます(破産法2171項)。

裁判所が異時廃止の決定を行った場合、配当に至らない段階で破産手続きが終了するため、債権者への配当は行われません。

(3) 同意廃止

「同意廃止」の決定は、以下のいずれかの場合に行われます。

  1. 配当を受けられる破産債権者全員が、破産手続きの廃止に同意したとき
  2. 破産手続きの廃止に同意しない破産債権者に対して、他の破産債権者全員の同意の下、裁判所が相当と認める担保が供されたとき

配当を受ける権利がある破産債権者全員が「配当は要らない」と表明したか、または十分な弁済を受けられるだけの担保が確保された状況であれば、破産手続きを廃止しても債権者を害することはありません。
したがって、上記の場合には「同意廃止」によって破産手続きが終了します。

ただし、配当を辞退する債権者はほとんどいないため、同意廃止が認められることは、実務上ほとんどありません

3.法人破産手続きの流れ

法人破産の準備段階から、廃止または終結によって終了するに至るまで、手続きの全体像を確認しておきましょう。

(1) 代理人弁護士との事前準備

法人破産を申し立てる前には、さまざまな検討や準備を行う必要があります。

まずは、債務総額と債権者ごとの内訳や、会社財産の金額と内容などのポイントを踏まえて、本当に法人破産をすべきなのかを検討する必要があるでしょう。
そのうえで、法人破産を決断した場合には、申立て書類を準備しなければなりません。

このような検討・準備は、弁護士に相談しながら行うとスムーズです。

(2) 破産手続開始の申立て

法人破産申立ての準備が整ったら、実際に破産手続開始の申立てを、主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所に行います(破産法51項)。

申立てが受理された後には、裁判所から破産者(会社)に対する質問が行われたり、破産管財人との打ち合わせが行われたりします。

また、申立てから開始決定までの間に、裁判所に対して予納金を納付しなければなりません。

(3) 破産手続開始の決定・破産管財人の選任

申立てを受けた裁判所は、以下のすべての要件が満たされていることが確認できた場合、破産手続開始の決定を行います。

  1. 支払不能または債務超過(破産法15条1項、16条1項)
    ※支払不能:弁済期が到来している債務を、一般的・継続的に支払うことができない状態(破産法211項)
    ※債務超過:貸借対照表における負債の部の金額が、資産の部の金額を上回っている状態
  2. 予納金全額の納付(破産法30条1項1号)
  3. 不当な目的による申立てや、不誠実な申立てでないこと(同項2号)

破産手続開始の決定が行われる場合、同時に破産管財人が選任されます。
破産管財人は、破産者の財産に係る管理処分権限を専有し(破産法781項)、破産手続きにおける事務全般を担当します。

なおこの時点で、破産財団が破産手続きの費用を賄うのに不足することが明らかである場合には、裁判所が同時廃止の決定を行います。

同時廃止という判断に至った場合には、破産管財人の選任およびこれ以降の手続きは省略され、破産手続廃止の決定・登記・法人格の消滅のステップへと移行します。

(4) 会社財産の換価・処分

破産管財人は、破産財団の換価・処分を進め、債権者に対する配当原資を確保します。
特に不動産など、流動性が低い会社財産が多い場合には、換価・処分に時間がかかることが予想されます。

なお、破産財団の換価・処分を進める中で、破産財団が破産手続きの費用を賄うのに不足することが明らかとなった場合には、裁判所が「異時廃止」の決定を行います。

裁判所が異時廃止の決定を行う際には、債権者集会において、破産債権者の意見を聴くことが必要です(破産法2171項)。

異時廃止の決定後は、債権者への配当に関する手続きは省略され、破産手続廃止の決定・登記・法人格の消滅のステップへと進みます。

(5) 債権者集会

債権者集会は、主に破産管財人が債権者に対して、破産財団の換価処分状況や、債権者への配当見込みなどを説明する場です。

おおむね3か月に1回程度、破産財団の換価処分が完了するまで開催されます。

(6) 債権者への配当

破産財団の換価処分が完了したら、破産管財人が債権者への配当を行います。

破産法所定の手続きに従った「最終配当」が行われるのが原則ですが、配当可能額が1000万円未満の場合などには「簡易配当」、届出をした破産債権者の全員が同意している場合には「同意配当」により、簡略化された手続きによる配当が認められています。

なお、債権者への配当は、優先的破産債権→通常の破産債権→劣後的破産債権→約定劣後破産債権の順で行われます。

債権者集会及び破産債権の優先順位については、以下の記事で解説しているので、併せてご参照ください。

[参考記事] 法人破産による債権者への影響|会社による債権者対応・債権者集会

(7) 破産手続廃止または終結の決定

<破産手続廃止の決定>

前述の同時廃止・異時廃止、または同意廃止の要件を満たした場合には、裁判所は破産手続廃止の決定を行います。

同時廃止・異時廃止による破産手続廃止の決定については、主文と理由の要旨が官報で公告されます(破産法2163項、2174項)。

この場合、債権者には、公告の効力発生日から2週間に限り即時抗告が認められます(破産法2164項、2176項)。

これに対して同意廃止の場合、申立てがあった時点でその旨が公告されます(破産法2183項)。

届出をした破産債権者は、公告の効力発生日から2週間以内に、裁判所に対して意見を述べることが認められますが(同条4項)、即時抗告は認められません。

<破産手続終結の決定>

最後配当・簡易配当・同意配当のいずれかが完了し、破産管財人が職務終了報告を行い債権者集会が終結したら、裁判所は破産手続終結の決定を行います(破産法2201項)。

この場合、裁判所は主文と理由の要旨を公告します(同条2項)。

(8) 廃止または終結の登記・法人格の消滅

法人破産手続きが廃止または終結によって終了した場合、裁判所書記官は、法務局の登記所にその旨の登記を嘱託します(破産法2577項、1項)。

破産手続廃止または終結の登記が完了した時点で、会社の法人格は消滅し、残った債務もすべて消滅します。

[参考記事] 会社破産の手続き|流れ・期間・必要書類と費用などまとめて解説

4.法人破産は弁護士に相談を

法人破産は、事前準備・申立てから廃止または終結に至るまで、非常に長丁場となる手続きです。
破産手続き中は、破産管財人や債権者との間で煩雑な対応を求められるため、法人破産は弁護士にご依頼いただくことをお勧めいたします。

弁護士にご依頼いただくことで、法人破産に関する労力や時間的負担を軽減し、新たな生活やビジネスを見据えた準備に注力することが可能となります。

会社の経営状態が悪化し、法人破産その他の債務整理をご検討中の方は、ぜひお早めに弁護士までご相談ください。

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