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法人破産による債権者への影響|会社による債権者対応・債権者集会

会社が法人破産を申し立てた場合、債権者は大部分の債権を失う結果になります。

債権者から不満が出ることも予想されるため、法人破産を申し立てる際には、債権者対応が発生することを覚悟しておきましょう。

法人破産の手続きの中でも、債権者に対して説明を行う「債権者集会」が開催されます。
会社としては戸惑う部分も多いかと思いますが、弁護士にご依頼いただければ、債権者集会にもスムーズに対応できますので、ご安心ください。

今回は、法人破産による債権者への影響や、債権者対応に関する注意点、債権者集会の概要などを解説します。

1.法人破産によって債権者に生じる影響

会社が法人破産をした場合、ほとんどの債権者は、債権の大部分について弁済を受けられなくなる不利益を被ります。

(1) 債権は破産手続きに従って弁済を受ける

会社について破産手続開始の決定が行われた場合、決定の時点から、会社財産(破産財団)の管理処分権限が破産管財人に専属します(破産法78条1項)。

したがって、破産手続開始の決定以降は、会社が債権者に対して、自主的に債務を弁済することは一切できません

破産手続開始の決定時点で存在している会社への債権は、「財団債権」または「破産債権」として取り扱われます。
財団債権と破産債権は、後述する優先順位に従って、破産手続きの中で弁済を受けることになります。

(2) 破産手続きにおける債権の優先順位

破産手続きでは、債権の内容によって、弁済を行う優先順位が設けられています。

財団債権

まず、最優先で弁済されるのは「財団債権」です(破産法151条)。

債権者全体のために支出される費用の債権や、特に弁済を確保すべき債権などが、財団債権として優遇されています。

<財団債権の例>

  • 破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
  • 破産財団の管理、換価および配当に関する費用の請求権
  • 破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税債権(破産手続開始当時、納期限未到来または納期限から1年を経過していないものに限る)
  • 破産財団に関し破産管財人がした行為によって生じた請求権
  • 事務管理または不当利得により破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権
  • 委任の終了または代理権の消滅の後、急迫の事情があるためにした行為によって破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権
  • 破産手続開始時に双方未履行の双務契約について、破産管財人が債務の履行をする場合において相手方が有する請求権
  • 破産手続の開始によって双務契約の解約の申入れがあった場合において、破産手続開始後その契約の終了に至るまでの間に生じた請求権
  • 破産手続開始前3か月間の、破産者の使用人の給与請求権
  • 破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当請求権であって、退職前3か月間の給料の総額に相当する額

優先的破産債権

破産手続開始決定前(※)の原因に基づく会社に対する債権は、「破産債権」として取り扱われます。
※一部の債権については、破産手続開始決定後の原因に基づく場合でも、破産債権に含まれます(破産法97条)。

破産債権は、財団債権の弁済が完了した後で弁済されます。

破産債権の中で、最優先に弁済されるのが「優先的破産債権」です。
優先的破産債権には、以下のとおり弁済の順位が設けられています。

<優先的破産債権>

  1. 国税・地方税の請求権
  2. 国民年金や国民健康保険料などの請求権
  3. 共益費用の請求権
  4. 雇用関係の請求権(財団債権でないものに限る)
  5. 葬式の費用の請求権
  6. 日用品の供給の請求権

通常の破産債権

破産債権のうち、優先的破産債権・劣後的破産債権・約定劣後破産債権に当たらないものは、通常の破産債権として取り扱われます。

通常の破産債権の弁済順位は、優先的破産債権に次ぎ、破産債権の中で2番目です。

劣後的破産債権

劣後的破産債権の弁済順位は、通常の破産債権に次ぎ、破産債権の中で3番目となります(破産法99条1項)。

<劣後的破産債権>

  • 破産手続開始後の利息の請求権
  • 破産手続開始後の不履行による損害賠償または違約金の請求権
  • 破産手続開始後の延滞税、利子税もしくは延滞金の請求権またはこれらに類する共助対象外国租税の請求権
  • 租税等の請求権であって、破産財団に関して破産手続開始後の原因に基づいて生ずるもの
  • 加算税もしくは加算金の請求権またはこれらに類する共助対象外国租税の請求権
  • 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金または過料の請求権
  • 破産手続参加の費用の請求権
  • 破産手続開始時に期限未到来の確定期限付無利息債権のうち、残存期間(1年未満切り捨て)に対応する法定利息相当額
  • 破産手続開始時に期限未到来の不確定期限付無利息債権のうち、債権額と破産手続開始時の評価額の差額相当額
  • 金額および存続期間が確定している定期金債権のうち、破産手続開始から本来の各期までの法定利息相当額の合計額

約定劣後破産債権

破産債権者と破産者との間で破産手続開始前に締結された契約によって、破産手続きにおける弁済順位を劣後的破産債権よりもさらに劣後させる旨の合意がなされた場合、当該債権は約定劣後破産債権となります(破産法99条2項)。

約定劣後破産債権の優先順位は、劣後的破産債権に次ぎ、破産債権の中で4番目(最下位)です。

(3) 同順位の破産債権の間では按分的に配当

破産債権に対する弁済は、破産手続きの中で「配当」という形で行われます。

その際、同順位の破産債権(たとえば通常の破産債権同士)が存在する場合には、債権額に応じて按分的に配当が実施されます(破産法194条2項)。
したがって、同順位の破産債権の間では、債権額面に対する弁済率は同じになります。

(4) 弁済を受けられなかった債権は免責

破産手続きでは、債務者財産が債務総額に不足しているため、破産債権は全額の弁済を受けられないのが通常です。

債権者への配当が行われた後、会社に対する債権の残額があったとしても、会社の消滅と共に残債務も消滅することになります。

【債権者が法人破産に反対したらどうなる?】
会社に対する債権が回収不能になることを嫌がって、法人破産に反対する債権者が登場するかもしれません。
しかし、法人破産の申立てには、債権者の同意は一切不要とされています。民事再生や会社更生などとは異なり、破産は債務者を救済する最後の手段なので、債権者の同意が要件から外されているのです。
したがって、債権者に対して申し訳ないという気持ちはあったとしても、法人破産に反対する債権者に惑わされることなく、債務者は粛々と法人破産の手続きを進めればOKです。

2.法人破産をする会社の正しい債権者対応

法人破産を申し立てる場合、会社は債権者に対して、以下のポイントに留意しつつ対応しましょう。

(1) 一部の債権者に対する偏頗弁済を行わない

債権者の一部に対してのみ、抜け駆け的に債務を弁済することを「偏頗弁済」と言います。
破産手続開始の前後において、偏頗弁済を行うことはご法度ですので、絶対に避けましょう。

破産手続開始決定後については、会社財産の管理処分権限は、破産管財人に専属します(破産法78条1項)。
したがって、破産手続開始決定後の偏頗弁済は無効です。

また、破産手続開始決定前に行われたものであっても、以下のいずれかに当たる弁済については、偏頗行為として破産管財人による否認の対象となります(破産法162条1項)。

  • 支払不能となった後に行われた弁済(弁済時点において、債権者が支払不能の事実を知っていたものに限る)
  • 破産手続開始の申立てがあった後に行われた弁済(弁済時点において、債権者が破産手続開始の申立ての事実を知っていたものに限る)
  • 支払不能になる前30日以内に行われた、弁済期未到来の債務に係る弁済(弁済時点において、債権者が他の債権者を害することを知っていたものに限る)

偏頗弁済は、破産手続きの円滑な進行を阻害する行為であるのみならず、悪質なものについては特定の債権者に対する担保の供与等の罪(破産法266条)の対象になる可能性もあります。

そのため、債権者の中に親しい個人や会社がいる場合でも、すべての債権者を公平に取り扱い、偏頗弁済は避けましょう。

(2) 財産隠しをせず誠実に対応する

債権者に対する配当を逃れようとして、会社財産を隠匿する行為は言語道断です。

破産手続きが開始したにもかかわらず、会社財産を隠匿した場合には、詐欺破産罪に問われる可能性があります(破産法265条1項1号)。

会社財産に未練があったとしても、財産隠しをした場合のリスクは非常に高いことを十分認識しておきましょう。

(3) 弁護士に債権者対応を任せる

法人破産を申し立てたことについて、債権者からクレームが寄せられることも想定されます。

前述のとおり、法人破産に債権者の同意は不要であるため、しつこい債権者への対応に多くの時間を割く必要はありません。

しかし、いずれにしても債権者対応は、会社の経営者・担当者にとって大きな負担になりますので、弁護士に一任することをお勧めいたします。

弁護士にご相談いただければ、債権者対応を含めて、法人破産に要する手続きを一括してお任せいただけます。
債権者対応について不安をお感じの会社経営者の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

3.法人破産における「債権者集会」とは

法人破産の手続きでは、配当との関係で利害関係を有する債権者に対する説明の場として、「債権者集会」が開催されます。

債権者集会は、破産管財人が債権者に対して、破産手続きの進捗を報告する場として位置づけられます。

たとえば、

  • 破産財団の換価、処分はどの程度進行しているのか(遅れているとしたら、それはなぜか)
  • 配当はいつ頃行われる見込みであるか
  • 配当率はどの程度になりそうか

といった事項について、破産管財人から債権者に対する説明が行われます。

(1) 債権者集会の出席者

債権者集会の出席者は、以下のとおりです。

  • 破産者(会社)の代表者など
  • 破産者の代理人弁護士
  • 破産管財人
  • 裁判官
  • 債権者

債権者が多数の場合、どの程度の参加人数になるのかが懸念されますが、特殊な事情がある事案でない限りは、債権者の出席率はきわめて低いのが実情です。

(2) 債権者集会の開催頻度・回数

債権者集会は、おおむね3か月に1度程度開催されます。

破産管財人による会社財産の換価・処分が完了するまで続くため、1回で終わらずに複数回開催されるケースもあります。

特に会社財産がたくさんある場合には、1年以上にわたって債権者集会が開催される可能性もあるでしょう。

(3) 会社が債権者から質問を受けた場合

債権者集会では、基本的に破産管財人が状況説明を行うため、破産者(会社)が能動的に説明を行うことは求められません。

ただし、債権者から会社に対して、破産に至った理由の説明を求められたり、反省の姿勢を問いただされたりすることは稀にあります。

会社としては、答えられる部分には真摯に答えつつ、基本的には破産管財人や代理人弁護士の対応に任せているという態度で応対すればよいでしょう。

4.法人破産は弁護士にご相談を

会社が法人破産をする場合、債権対応を含めて、全体を通じて煩雑な対応が必要となります。
期間としても長期戦になることが予想されるため、弁護士にご依頼いただくことをお勧めいたします。

弁護士は、法人破産の申立て書類の作成・破産管財人との打ち合わせ・債権者対応など、煩雑な法人破産の手続きを全面的にサポートいたします。

法人を清算し、新たな生活・ビジネスに向けて再スタートを切るに当たり、ストレスなく円滑に法人破産手続きを完了するには、弁護士のサポートが大いに役立ちます。

会社の経営が思わしくなく、法人破産をご検討中の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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