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請求と督促

未払い医療費の回収方法|督促状やその後の対応について

医療費の未払いは深刻な問題です。未払い医療費のせいで経営難に陥っている病院も見られます。

コロナ禍以前の日本には訪日外国人が多かったため、訪日中に体調を悪くして治療を受けたにもかかわらず、支払いをせずに帰国してしまい、未収金になってしまう例が散見されました。

現在は訪日外国人が少なくなったものの、それでも未払いの問題は残っています。

本記事では病院が未収金を取り立てる方法を解説していきます。未収金に悩む病院経営者の方はぜひお読みください。

1.医療費未払いの基本的な対応方法

医療費の支払いが行われないケースとしては、「医療費の支払いに十分なお金を治療日に持参しておらず、後日支払うことを約束して帰宅したものの、そのまま支払いに来ないケース」や、「診療時間以外に急患が来たケース(経理スタッフがおらず、医療費の計算ができないため支払いは後日ということになる)」があります。

この場合は、相手の運転免許証その他の身分証明書で住所・氏名・連絡先を確認して連絡が取れるようにしておくか、家族に連絡してお金を持ってきてもらうなどの対応が必要です。

保証金を取る方法も効果的でしょう(例えば、治療後にとりあえず5000円払ってもらい、後日経理窓口が開いているときに来院してもらい、正しい金額を精算します。保証金の方が医療費より多ければ超過分を返却し、少なければ不足分を支払ってもらいます)。

また、単純に「難癖をつけて支払わない」というモンスターペイシェントも存在します。

この場合、交渉や説得は無理と考えて、相手が諦めて支払うような方向へ話を持っていきましょう。仮に業務妨害罪、強迫罪、暴行罪、器物損壊罪などの状態になれば、警察への相談と通報も視野に入れてください。

相手が未払いのまま亡くなってしまったならば、相続人に支払義務が承継されるため、相続人に督促しましょう。

【医療費を未払いの人に診療拒否はできる?】
医師法第19条1項には「応召義務」が記されています。これは「正当な事由がない限り診療治療に応じなければならない」という、医師に課せられた義務です。歯科医師法にも同じ規定があります。(第19条1項)
厚生労働省は「医業報酬が不払いであっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない」という旨の通達を発しています。(厚生労働省昭和24年9月10日通達)
応召義務に違反すると、最悪の場合は医師免許の取消や停止の処分を受けてしまいます。そこまでの処分を受ける可能性は少ないですが、0ではないので注意してください。

2.医療費が支払われない場合の対応方法

任意の支払いを促してもなかなか対応してもらえない場合、一般的には以下の順序で督促を行います。

  1. 通常の督促と内容証明による督促
  2. 法的措置
  3. 強制執行による回収

(1) 通常の督促

まずは電話やメール、郵便物で督促を行います。
郵便物で督促する場合には、書面に以下の要素を忘れずに盛り込みましょう。

  • 督促の日付
  • 請求額
  • 支払期限
  • 支払方法
  • 担当者連絡先

下記の文章を督促状のテンプレートとしてご活用ください。

(2) 内容証明による督促

内容証明は「内容証明郵便」という特別な方法で配達してもらう書類です。

同じ文面の文書を3通作成(2通はコピーで可)して、封をしていない封筒とともに郵便局で局員の方に提出します。封筒には表に宛名、裏に差出人の住所を記してください。

郵便局では局員の方が内容をチェックして、1通を返却してくれます。大切に保存してください。
残りの2通のうち、1通は郵便局で保管され、1通が請求先に配達されます。同じ文面の文書を3者で持つというわけです。

内容証明郵便は相手に手渡しされ、配達証明を付ければ、書類の内容だけでなく相手方に配達された事実も証明されるため、相手は「受け取ってない」「郵便事故では?」などの言い訳ができません。

できれば弁護士に依頼して、弁護士名義で内容証明を送ってもらいましょう。弁護士が介入していることが相手に伝わるため、「本気で法的措置を考えているのだな」と観念して、支払いに応じる可能性が高くなります。

内容証明の文例を以下に掲載します。適宜アレンジしてお使いください。(1行26文字、20行までの場合)

(2) 法的措置

内容証明を送っても効果がない場合は法的措置の実行に移ります。

以下の方法から最適なものを選んでください。

仮差押え

相手に財産がなければ医療費を回収できないので、相手の財産を相手の意思で動かせなくしておく必要があります。その方法が「仮差押え」です。

ただし、仮差押えの手続きは難しく、相手の財産の所在(銀行口座を差押えるなら、どの銀行に口座があるかなど)を特定する必要もあります。保証金が必要などのデメリットがあるため、弁護士と相談して実行の可否を検討してください。

[参考記事] 債権回収に向けた仮差押えとは?

支払督促

裁判所に申立てをして、裁判所から支払いを督促してもらう方法です。
これをすると、「裁判所から通知が来た!」と驚いて支払いに応じるケースも多いです。

支払督促の手続は、基本的に書面のやり取りだけで完結するため、裁判所に出向く必要はありません。

支払督促を送っても相手が何も策を講じない場合、「仮執行宣言付支払督促」という書類を得ることができます。これは後で説明する強制執行の際に必要となります。

支払督促は相手の住所地を管轄する簡易裁判所へ申立てます。相手が異議を申立てると通常の訴訟に移行するため、相手が遠隔地に住んでいる場合は遠方の裁判所まで行かなければならない可能性があります。相手が異議申立てをしない見込みのときに実行した方がいいでしょう。

[参考記事] 支払督促とは|やり方などをわかりやすく解説

少額訴訟

60万円以下の金銭の支払いを求めるときに利用できる簡易な訴訟です。1回の審理で判決が下され、勝訴すれば強制執行に必要な書類が手に入ります。

通常の訴訟に比べると遥かに迅速な手続ですが、1回しか審理がないため、十分な証拠や証人を用意するなどの入念な準備が必要です。

なお、少額訴訟も支払督促と同じく、相手が異議を唱えると通常の訴訟に移行してしまいます。

[参考記事] 少額訴訟とは|デメリット・流れ・やり方

通常の訴訟

いわゆる「裁判」です。時間とお金がかかるイメージがあるかもしれませんが、裁判前や裁判中に和解に至ることも多いため、早期解決できる可能性もあります。

勝訴すれば確定判決、和解になれば和解調書を得ることができます。これらの書類があれば強制執行に移ることができます。

(3) 強制執行による回収

支払督促、少額訴訟、または通常の訴訟などを経て得た書類を使えば、強制執行が可能です。

具体的には、相手の財産を差し押さえて、競売の売却代金から医療費を回収したり(不動産や動産の場合)、第三債務者から直接取り立てて回収したり(債権の場合)します。

強制執行をする際は相手の財産の所在を特定する必要がありますが、財産開示手続という制度を利用すれば相手の財産を調べることができます。詳しくは下記リンクをご参照ください。

[参考記事] 財産開示手続とは|流れは?無視された場合はどうする?

3.医療費の回収に時効はある?

2020月3月31日までに発生した医療費の請求権は「3年」で消滅時効を迎えます。

ただし法改正の影響で、2020月4月1日以後に発生した医療費については「5年」で消滅時効となります。

時効の起算点は支払期限の翌日です。2021年7月1日が支払期限の医療費は、同年7月2日から消滅時効のカウントが始まります。

本記事で紹介した内容証明の送付・仮差押え・支払督促・少額訴訟・訴訟などの手段を使えば、消滅時効のカウントをストップまたはリセットすることが可能です。

もし時効が近づいている場合は、弁護士に依頼して迅速に対応してもらい、時効の成立を阻止してください。

4.医療費の回収が難しいと感じたら弁護士へ

医療はボランティアではありません。医療費の回収は医療従事者に認められた正当な権利です。堂々と取り立てをして構いません。
しかし、医療従事者の業務は多忙を極めます。未収金の回収まで手が回らないことも多いでしょう。

そういった場合は債権回収が得意な弁護士にご相談ください。
泉総合法律事務所の弁護士は、債権回収に関する多くの知識がありますので、安心してご相談・ご依頼ください。

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