支払督促申立書の書き方・書式・文例
支払督促をして債権を回収するには、「支払督促申立書」という書類を作成して、裁判所に提出する必要があります。
しかし、支払督促申立書を書いた経験がある人はそれほど多くないでしょう。書き方がわからない人が大多数のはずです。
ここでは、支払督促申立書の書き方や提出先を説明します。支払督促をしようと考えている方はどうぞ参考にしてください。
なお、支払督促について基本的なことは以下のコラムで解説しています。
[参考記事] 支払督促とは|やり方などをわかりやすく解説1.支払督促申立書とは?
まずは支払督促申立書に関する基本的なことを説明します。
支払督促申立書は、裁判所に支払督促の申立てをするときに必要です。
「債務者の住所を管轄する簡易裁判所」に提出します。
債務者が法人の場合は、法人の住所を管轄する簡易裁判所に提出してください。
住所が分からない場合には支払督促を行なうことができませんが,戸籍や法人登記を通じて確認できることがありますので,弁護士に相談してみてください。
提出のために裁判所まで出向く必要はありません。郵送で書類を提出できます。
オンラインで手続きができる「督促手続オンラインシステム」というサイトも準備されているので、こちらを利用してもいいでしょう。
2.支払督促申立書の書き方
支払督促申立書の書式(テンプレート)は、各簡易裁判所に備え付けてあります。
また、裁判所のサイトからダウンロードして入手することもできます。
書式を埋める形式で記載していけば問題ありませんが、分かりづらい部分もあると思うので、一箇所ずつ解説していきます。
なお、ここからは上に挙げた「裁判所の書式」を念頭に置いて書き方を説明します。
(1) 事件名
「請求事件」と書かれている左側の空白に事件名を記載します。
例えば、家賃やテナント賃料を請求したいのであれば、「『賃料』請求事件」となるように書きます。
主要な債権に加えて,それに付随する債権も請求したい場合(例えば,損害金等)には,主要な債権に基づく事件名に「等」とつけ「賃料等請求事件」とします。
ケースに応じて以下のように書いてください。
(「」の中が記載する内容です。「」を記載する必要はありません。)
- 売掛金の請求:「売掛金 請求事件」
- 貸金の請求:「貸金 請求事件」
- 売買代金:「売買代金 請求事件」
(2) 債務者について
「債務者 は、 債権者に対し」と不自然な空白がある文章が目につくと思います。
これは債務者に連帯保証人などがいる場合に、その旨を記載するための空白です。
連帯保証人などがいる場合は、上記の文の二つの空白にそれぞれ「ら」と「連帯して」を書き加えます。
最終的に「債務者 ら は、 連帯して 債権者に対し」となるように書いてください。
(3) 申立手続費用と内訳
支払督促の申立てにかかった費用を書きます。債務者に弁済して欲しい金額を書かないように注意してください。
ただし,申立費用として請求できる金額は法令で決まっています。以下を参考に書いてください。
申立手続費用 | 下記の内訳を合算した金額を書きます。 |
---|---|
申立手数料(印紙) | 申立てそのものに必要な金額です。「支払督促の申立て」欄をご参照ください。 |
支払督促正本送達費用(郵便切手) | 申立先の裁判所に問い合わせてご確認ください。 |
支払督促発付通知費用 | 申立先の裁判所に問い合わせてご確認ください。 |
申立書作成及び提出費用 | 一律800円です。 |
資格証明手数料 | 債権者や債務者が法人の場合、各法人の「代表者事項証明書」「履歴事項全部証明書」などを法務局で取得して添付する必要があります。その取得にかかった費用を記載します。郵送で取り寄せた場合、郵送費も記載します。 |
(4) 日付・債権者の住所、氏名、連絡先
書類作成時の日付、債権者の住所氏名、電話番号等を書いてください。氏名の後ろに押印が必要です。
法人の場合は、登記事項証明等に記載した本店所在地を記入し、代表者の氏名を書き、その後ろに押印してください。
(5) 簡易裁判所名
「 簡易裁判所裁判所書記官殿」と不自然な空白がある場所に、申立先の簡易裁判所名を記入します。
最終的に「東京 簡易裁判所」などとなるように書いてください。
(6) 価額
債務者に請求する金額を記載します。元本の額のみを書いてください。
(7) 貼用印紙
申立手数料を納付するために購入した印紙の価格を書きます。
(8) 郵便切手
納めた郵便切手の代金を記入します。
(9) 添付書類
申立て時に添付する書類のチェックボックスにレ点を入れて、数量を記載します。
契約書のコピーなどを添付する場合は、レ点を入れた後に添付書類の名称を記載してください。
具体的な記入例は、裁判所のHPにも記載をされています。
3.支払督促申立書を作成する前に弁護士へ相談を
法的知識のない人でも、支払督促申立書は比較的簡単に作成できるはずです。基本的には本記事の内容を参考にしながら書けば問題ありません。
とは言え、申立先の簡易裁判所によって細かい記載事項や納付する金額が異なるため、必ず事前に問い合わせて確認してください。
なお、支払督促の申立てをするには、他にも「当事者目録」や「請求の趣旨及び原因」などの書類が必要です。
書類の作成や準備が不安という方は、弁護士に依頼して手続きを代行してもらうという手もあります。
弁護士ならそもそも支払督促が妥当な方法なのかも含めて考えてくれますし、他の債権回収方法も検討してくれるので心強いでしょう。
債権回収については、弁護士への相談も視野に入れることをお勧めします。