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請求と督促

支払督促とは|やり方などをわかりやすく解説

債権を回収する方法の1つに「支払督促」というものがあります。
これは、裁判所に申立てをして行う手続きです。

裁判所を使う手続きというと訴訟のイメージがあるせいか、「難しそう」「手間がかかりそう」「回収まで長引くのでは?」と思う人が多いかもしれません。

しかし支払督促は、簡単かつ比較的短期間で終わる手続きです。

この記事では、支払督促のやり方や効果などを、できるだけわかりやすく解説します。

1.支払督促とは?

支払督促は、強制執行(債務者の財産の差押え)を行うためのステップとなる手続きです。

債権者が裁判所に申立てをすると、裁判所が債務者に対して「支払督促」を送達します。
支払督促を受けた債務者が何も行動を起こさずに受領後2週間経過した場合、支払督促の申立人(債権者)は「仮執行宣言の申立て」をすることができます。

仮執行宣言の申立てを受けた裁判所は、債務者に対して「仮執行宣言付支払督促」を送達します。それでも債務者が受領後2週間以上無視をする場合、債権者は強制執行の申立てをすることができます

通常は差押えをするために、裁判の確定判決や和解調書、調停調書、執行認諾文言付公正証書などが必要となります。
こういった書類を「債務名義」と言いますが、仮執行宣言付支払督促も債務名義の一種です。

通常の裁判は判決まで何ヶ月もかかりますし、上記の各種調書や公正証書を得るには相手方の協力が必要です。
しかし、支払督促を利用すれば、裁判や相手の協力を必要とせずに債務名義を獲得して、強制執行に移ることが可能なのです。

強制執行によって債務者の財産を差押えすれば、その財産から債権を回収できるため、短期間で債務名義を得られる支払督促は債権者にとって有用な手続きと言えます。

実際、債務の滞納については訴訟によらず支払督促による法的手続を行う債権者が多いです。訴訟の目的が比較的少額の紛争を扱う簡易裁判所では、全事件数の3割を支払督促が占めています。

2.支払督促の効果とメリット

支払督促は強制執行の準備をするための手続きですが、それ以外にも様々な効果があります。

(1) 債務者が弁済に応じる可能性が高くなる

支払督促の後には強制執行が待っていますが、そのことを知らない債務者であっても、裁判所から連絡があれば驚くはずです。

債権者が本気で督促を行っていることが支払督促によって伝わるため、債務者が慌てて債務の弁済をする可能性が高くなります。

(2) 消滅時効の進行を止められる

債権には長期間請求をしないままでいると請求できなくなってしまう消滅時効というものがありますが、支払督促の申立てをすると、この消滅時効の進行がストップします。
さらに、支払督促が確定した場合、消滅時効のカウントが一から数え直しとなります。

時効の進行が止まることを「時効の完成猶予」と言い、時効が数え直しになることを「時効の更新」と言います(令和2年4月に現行法が施行される以前では、それぞれ「時効の停止」「時効の中断」と呼びます)。

債務者によっては消滅時効の完成を待っている人もいるかと思われますが、支払督促をすることで、債務者のその思惑を打ち崩す効果も発生するのです。

(3) 裁判所に行く必要がない

支払督促は、裁判所の書記官による書類審査が行われますが、書類に不備がなければ問題なく受け付けてもらえるはずです。

書類のやりとりだけなので、裁判所に行かなくても郵送やオンラインで手続きでき、遠隔地の債務者への督促が容易になります。

3.支払督促のやり方

ここからは、実際に支払督促を行う方法を解説します。

なお、支払督促の申立ては、「債務者の住所を管轄する簡易裁判所」に行います。
(支払督促は裁判官が関与する「訴訟」ではありませんので、請求額がいくらであろうと関係なく、簡易裁判所に申立てすることになっているのです。)

(1) 申立て時の必要書類を準備する

支払督促の申立て時に簡易裁判所へ提出書類には様々なものがあります。

必要な書類は「裁判所HP」からダウンロードできます。
申立てをする簡易裁判所によって細部が異なるため、事前に問い合わせて確認しておきましょう。

ここでは東京簡易裁判所へ申立てをするときを例に説明します。東京簡裁用の書式は以下のリンクから入手できます。

【参考】裁判所HP 東京簡易裁判所「申立てに必要な書類等

支払督促申立書

債権者の住所や書類の届け先、納付する費用について記載します。添付書類がある場合は、その旨も記載します。

上部の余白に捨印をしておくと、訂正があっても電話のみで済むことがあります。忘れずに押しておきましょう。

[参考記事] 支払督促申立書の書き方・書式・文例

当事者目録のコピー2通

債権者と債務者の住所氏名や連絡先を記載する書類です。

それぞれに押印や捨印をする必要があるため、判子を押す前にコピーをとり、その後で押印や捨印をしてください。

なお、通常の訴訟は相手の住所が不明でも「公示送達」という方法を採ることができますが、支払督促にはそういった制度がありません。相手の住所がわからないと支払督促を利用できないので注意してください。

請求の趣旨及び原因のコピー2通

どういった債権を請求するのか、その金額はいくらなのか、利息はあるのかなどを明らかにする書類です。

「請求の趣旨」には、請求する金額、それに加算される利息、支払督促の申立て費用などを記載します。

「請求の原因」には、その債権が発生した原因を書きます。
例えば仕事を請け負った代金を払ってもらっていない場合は、契約日や仕事の内容、仕事を完了した日や代金、支払い済みの金額や未払金の額などを記載します。

角型2号の封筒(債務者の数+債権者の数)

A4用紙を折らずに入れられる角型2号の封筒を用意します。

1つには申立人の住所氏名(法人の場合は法人名と代表者名。以下同じ)を記載して、120円分の郵便切手を貼ります。

残りの封筒には債務者の住所氏名を記載して、それぞれ1,125円分の切手を貼ります。債権者の数と同数の封筒が必要です。

郵便物の重さによっては追加の切手が必要になることがあります。

郵便ハガキ

63円の郵便ハガキの表側(宛名欄)に、申立人(債権者)の住所氏名を記載します。現住所以外の場所にハガキを届けて欲しいときは、届けて欲しい場所の住所を書きます。

宛名を書かないと手続きが遅くなることがあるので、間違いなく記載しましょう。

資格証明書

債権者や債務者が法人などの場合にのみ必要です。

各法人の「代表者事項証明書」「履歴事項全部証明書」などを法務局で取得して添付します。3ヶ月以内に取得したものに限られるので注意してください。

法人登記をしていないマンション等の管理組合のように、権利能力なき社団が当事者のときは、「管理組合の規約」「代表者(理事長)が選任されたときの総会の議案書」「議事録の写し」が資格証明書になります。

委任状

弁護士や認定司法書士が代理人として申立てをする場合は、委任状を添付する必要があります。

手形や小切手の写し

手形(小切手)訴訟による審理及び裁判を求める申述をして支払督促の申立てをする場合は、手形などの写しが必要です。

(2) 支払督促の送達

債権者の申立てを受けた裁判所は、債務者に支払督促の送達を行います。
債務者は送達を受けてから2週間以内に異議申立てを行うことができます。

「2週間」の数え方は、送達を受け取った翌日を1日目としてカウントします。
異議申立てが行われた場合、支払督促が終了して通常の訴訟手続きに移ります。

(3) 仮執行宣言の申立て

債務者が2週間以内に異議申立てをしない場合、債権者は2週間目の翌日から数えて30日以内に、裁判所に対して「仮執行宣言の申立て」をできるようになります。

30日の間に仮執行宣言の申立てをしなければ、支払督促の効力がなくなります。

(4) 仮執行宣言付支払督促正本の送達

裁判所が当事者双方に仮執行宣言付支払督促正本を送達します。

債務者はこの送達を受けてから2週間以内に、前回と同様に異議申立てを行うことができます。異議申立てが行われると、通常の訴訟手続きに移行します。

(5) 仮執行宣言付支払督促の確定

債務者が仮執行宣言後の異議申立てをしなければ、仮執行宣言付支払督促が確定します。

以上で支払督促は終了です。
まだ債務者が債務を弁済しない場合、債権者は強制執行の手続きをすることができます。

支払督促には「2週間待つ」という手続上必須の時間経過が2回存在するため、申立てをしてから概ね1~2ヶ月で強制執行ができるようになります。

4.支払督促に必要な費用

切手代などについては既に述べましたが、それ以外にも以下の費用が必要です。

  • 申立手数料
    訴訟費用の半額です。詳しくは裁判所HPにある「支払督促の申立て」欄をご参照ください。
  • 仮執行宣言申立ての費用
    仮執行宣言の申立てをするには切手代が別途かかります。「1082円×債務者の数」を裁判所へ納めてください。

5.まとめ

支払督促は、書類だけで行える強制執行の下準備です。

債権回収の方法として、支払督促は一定の効果を有します。
相手が異議申立てをして裁判に移行する可能性が低い場合は、支払督促を検討すると良いでしょう。

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