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法人破産の重要知識

「債務超過」になると倒産?法的倒産手続きにおける取扱いと解消方法

会社が「債務超過」の状態に陥った場合、少なくとも経営危機がすぐそこに迫っている状況と言えます。

債務超過となっている会社は、常に倒産のリスクに晒されますので、できる限り早めに債務超過を解消することをお勧めいたします。

今回は、「債務超過」の意義や法的倒産手続きにおける取扱い、さらに債務超過の解消方法などを解説します。

1.「債務超過」とは?

「債務超過」とは、「債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態」と定義されています(破産法161項)。
貸借対照表で言うと、「資産の部」の金額を「負債の部」の金額が上回っている状態です。

債務超過であったとしても、資金繰りに問題がなく、弁済期が到来している債務を支払うことができていれば、経営を続けていくことは可能です。

しかし、債務超過の状態における企業価値はマイナスであり、遅かれ早かれ収支を改善することが求められます。

2.債務超過になると倒産扱いになる?

「債務超過」の状態になったとしても、直ちに倒産を意味するわけではありません。

しかし、法人破産・民事再生・会社更生といった法的倒産手続きとの関係では、「債務超過」が重要な意味を持っていることも事実です。
各法的倒産手続きにおいて、「債務超過」がどのように位置づけられているのかを確認しておきましょう。

(1) 債務超過は法的倒産手続きの開始要件

法人については、支払不能※と並んで、債務超過が破産手続開始要件の一つとなっています(破産法161項、151項)。
※支払不能:支払能力を欠くために、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態(同法2条11項)

また、民事再生・会社更生に関しては、「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがある」ことが、手続開始の要件の一つに挙げられています(民事再生法2111文、会社更生法1711号)。

つまり、実際にはまだ債務超過でなくても、収支の状況などから、近い将来債務超過に陥る具体的なおそれがある場合には、民事再生・会社更生の手続き開始事由に該当するのです。

端的に言えば、「債務超過」あるいはそれに近い状態の会社は、法的倒産手続きを開始できる、いつ倒産してもおかしくない状況にあると言えます。

(2) 債務超過でも直ちに倒産扱いになるわけではない

「債務超過」または「債務超過のおそれ」は、各種法的倒産手続きの開始事由ですが、債務超過に陥ったからといって、直ちに法的倒産手続きが開始されるわけではありません。

法的倒産手続きが開始されるのは、債務者等による申立てがあった場合に限られます。
したがって、法的倒産手続き開始の申立てがなければ、債務超過であったとしても、会社が法的な倒産状態にあるとは評価されません

(3) 債権者等が倒産手続きを申し立てる可能性がある点

法的倒産手続きは、債務者である法人(会社)自身が申し立てるのが一般的です。

しかし、法人破産と民事再生については、債権者にも申立権が認められています(破産法181項、民事再生法212項)。

また、会社更生については、資本金額の10分の1以上に当たる債権を有する債権者と、総株主の議決権の10分の1以上を有する株主に申立権が認められています(会社更生法172項)。

債務者である法人(会社)に倒産申立ての意思がなくても、債務超過の状態またはそのおそれがある状態にある場合には、債権者(または株主)からの法的倒産手続き開始の申立てが認められてしまう可能性がある点に注意が必要です。

3.債務超過を解消する方法

債務超過の状態にある会社は、債権者や株主から法的倒産手続きの開始を申し立てられるリスクがあります。
さらに、出資者に対する見栄えも悪く、資金繰りが滞るリスクも高いため、できるだけ早く債務超過を解消することが求められます。

債務超過を解消するための主な手段は、以下のとおりです。

(1) 新株発行による増資を行う

新株を発行すると、発行時に金銭が払い込まれ、会社の資産が増えます。
そのため、十分な金額を拠出してくれる出資者が見つかれば、会社の債務超過を解消することができるでしょう。

ただし、債務超過の状態にある会社に対して、出資してくれる人や会社を探すのは、なかなかハードルが高いかもしれません。

出資者探しの際には、事業の将来性などをアピールするプレゼンテーションが重要になるでしょう。

(2) 債務の減額・免除を交渉する

既存の債権者に、債務の減額・免除を認めてもらえれば、会社の債務を圧縮することができるので、債務超過の解消に繋がります。
特に、債権者との直接交渉によって、債務の減免や返済スケジュールの変更を認めてもらうことを「私的整理」と呼んでいます。

私的整理を成立させるためには、会社の財務状況の深刻さや、私的整理後の返済計画などについて債権者に説明し、納得を得ることが重要です。

(3) 債権者との間でDESを行う

債務超過を解消するためには、「デッド・エクイティ・スワップDebt Equity Swap)」という方法をとることも考えられます。

「デッド・エクイティ・スワップ」とは、債務(Debt)を株式(出資持分、Equity)に転換する取引を意味します。
各単語の頭文字を取って「DES」と略称されることもあります。

デッド・エクイティ・スワップを行う場合、以下のいずれかの方法によって、既存の債権者が有する債権を会社株式に転換します。

  1. 既存の債権者が債権を現物出資して、代わりに株式を取得する
  2. 既存の債権者が、会社に対して金銭を払い込んで株式を取得し、会社は払込金を債務の返済に充てる

なお、デッド・エクイティ・スワップは、債務の減額と組み合わせて実施されることもあります。

デッド・エクイティ・スワップは、会社にキャッシュがなくても実施できる取引であり、資金繰りに窮した企業が債務超過を解消する際に効果的です。

その一方で、債権者に株式を与えることになり、経営に対する干渉を招きかねない点に注意する必要があります。

(4) 企業努力により収支を改善する

上記で紹介した方法は、いずれも短期的な視点で債務超過を解消するためのものです。
しかし、一時的に債務超過を解消できたとしても、会社の収入を支出が上回っている状態では、早晩債務超過の状態に逆戻りしてしまいます。

根本的に、中長期的な観点から債務超過を解消するには、やはり会社収支の改善が不可欠です。

収益性の高い事業を生み出す、あるいは経費を節減するなどの企業努力を行い、経営の健全化を目指しましょう。

4.債務超過を解消できないなら法人破産も検討すべき

債務超過が長期間にわたって解消せず、会社収支が改善する兆しも見られないようであれば、法人破産を検討すべきタイミングに来ているかもしれません。

法人破産をすると、会社財産の処分および法人格の消滅と引き換えに、最終的に会社の債務全額が免除されます。

取引先を失う可能性はありますが、新たな事業を起こしたり、他の会社の取締役に就任したりすることは禁止されません。

会社が債務超過に陥っており、事業の収益性・将来性に疑問符がつく状態であれば、法人破産により事業をリセットして、経営者としての再出発を目指すこともご検討ください。

5.会社の債務超過にお悩みの経営者は弁護士にご相談を

債務超過の状態を放置していると、近い将来経営危機に陥る可能性が高まります。

戦略的に債務超過の状態を作り出しているのであればよいですが、そうではなく、経営悪化によって債務超過に陥り、改善の具体策がない場合には、弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

最終的に法人破産をすることになった場合にも、ある程度の費用が必要となります。法人破産の決断が遅くなってしまうと、費用が用意できず法人破産すらできないということになってしまう可能性もあります。

早い段階で弁護士に相談すれば、無理なく法人破産ができますし、場合によっては法人破産以外の方法で問題の解決が図れるかもしれません。

会社が債務超過に陥り、お悩みを抱えている経営者の方は、お早めに泉総合法律事務所の弁護士までご相談ください。

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