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法人破産手続

法人破産時に財産を隠すとどうなる?

法人破産をご検討中の経営者の方は、法人の財産を何とか残したいとお考えになるかもしれません。
しかし、破産手続にあたって法人財産を隠してしまうと、重大な結果を招く場合があります。

ここでは、「破産にあたり財産を隠すとどうなるのか」をご説明します。

1.破産した法人の財産はどうなる?

法人が破産する場合、裁判所から破産管財人が選ばれて、その破産管財人が破産する法人の財産を管理し、処分を行います。
売却できる財産は売却してお金に換え、まず優先権のある債権への弁済に充てられ、残った財産が一般の債権者に平等に配当されます。

法人破産では、法人の全ての財産が破産管財人によって処分されるのが原則です。

破産により法人は消滅しますので、個人の破産の場合のように破産者の生活のためなどの理由から一定の自由財産の保有が認められたり、破産手続の開始後に特定の財産を破産手続による処分から外して(破産財団からの放棄)破産者の自由財産としたりするということは、原則としてありません。

[参考記事] 破産管財人による破産財団の放棄(法人破産)

破産財団からの放棄が法人破産の場合に行われるのは極めて例外的な場面に限られますので、破産した法人の財産は、原則としてその全てが破産管財人による管理処分の対象となるのです。

2.財産を隠すとどうなる?

では、手元に残しておきたい法人の財産を隠してしまうとどうなるのでしょうか。

例えば、法人名義の預金を代表者個人や親族、その他の口座に移し変えたり、不動産の名義を変更したりすることは、「財産隠し」となります。
また、通常よりも安い値段で法人の財産を売却することも、法人の財産を減少させるという意味で財産隠しと同様の行為とされます。

このような行為をすると、破産手続に入った後に、破産管財人により取り戻されてしまいます(法律用語では「否認権の行使」と言います)。

また、財産を隠す行為は犯罪として刑事責任を問われる場合もあります。

破産手続開始の前後を問わず(下記の類型3-(5)は破産手続開始決定等がなされた後のみ)、債権者を害する目的で以下の行為をした場合、詐欺破産罪という犯罪が成立して刑事罰を受ける可能性があるのです。
罰則は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、もしくはこの両方です(破産法265条)。

3.詐欺破産罪の対象となる行為

詐欺破産罪の対象となる行為は、具体的には以下のとおりです。

なお、この犯罪の成立のためには、「債権者を害する目的」が必要ですので、この目的がなければ犯罪は成立しません(民事上の責任が追及される可能性はあります)。

(1) 「債務者の財産を隠匿または損壊する行為」(同条11号)

隠匿とは故意に法人の財産を隠すこと、損壊とは故意に壊すことです。

単に紛失してしまったり、不注意などでうっかり壊してしまったりしたという場合は含まれません。

(2) 「債務者の財産譲渡または債務負担を仮装する行為」(同条12号)

第三者に財産を売却したかのような契約書を作成するなどして法人の財産がすでに譲渡されているかのように装ったり、実際には貸してもいないのに金銭を債務者に貸し付けたかのような契約書を作成したりするなどして、法人が債務を負担しているかのように見せかける行為です。

典型的な例は、法人の財産を経営者の親族等や関連法人に売却しているかのような書類を作って、法人の財産ではなくなっているように見せかける、といった場合です。

(3) 「債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為」(同条13号)

損壊以外の方法で法人の財産の現状を改変することにより、財産の価格を減損する行為です。
法人が所有する更地上に建物を建て土地価格を下落させる行為などがこれに当たります。

ただし、上に述べたように債権者を害する目的が必要ですので、このような行為がすべて犯罪となるわけではありません。

(4) 「債務者の財産を債権者の不利益に処分しまたは債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為」(同条14号)

これまでにあげた隠匿、損壊、仮装行為や財産の現状を変更する行為ではなくても、債権者に不利益を与えるような効果を生じるものであれば、詐欺破産罪の対象となり得るということです。

典型的なものとしては、財産の無償贈与、著しい廉価売却、ヤミ金などから著しく高利で借入れをする行為などです。

なお、この不利益処分等の行為については、法人側の行為者だけでなく、当該行為の相手方も、債権者に不利益を与えるために行っているという事情を知っている場合には、同様に刑罰を科されることになります。

(5) 「債務者について破産手続開始の決定がされまたは保全管理命令が発せられたことを認識しながら、破産管財人の承諾その他の正当な理由がなく、その債務者の財産を取得しまたは第三者に取得させる行為」(同条2項)

裁判所により破産手続開始の決定等がなされた後、この決定等を知りながら、正当な理由なく法人財産を取得し、あるいは取得させる行為が対象です。

4.まとめ

以上のように、場合によっては刑事責任まで問われることになりますので、法人の破産手続においては、法人の財産を隠すことは決してしてはいけません。

そうは言うものの、法人の資金繰りが苦しくなっていく中で、どの段階で、具体的にどのような行為が問題となるのかを経営者ご自身で判断することは、なかなか難しいことと思います。

法人の破産の可能性をお感じになった時点で、なるべく早く、弁護士にご相談になることをおすすめします。

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