債権回収に強い弁護士に無料相談【東京・神奈川・埼玉・千葉】
安心と信頼のリーガルネットワーク弁護士法人泉総合法律事務所債権回収
0120-627-017
【電話受付】平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:30
お問い合わせ
(365日24時間受付中)
債権回収の重要知識

「債務者」と「債権者」の違い|わかりやすく民法解説

借金問題についてのコラムや記事、法律に関する文献を読んでいると、「債権」や「債務」という言葉がよく使われます。「債権者」や「債務者」という言葉についても同様でしょう。

しかし「債権や債務ってどういうもの?」「債権者ってどういう人を指すの?」と聞かれたときに、しっかりと説明することは意外と難しいです。

ここでは「債権」「債務」「債権者」「債務者」という言葉について、できるだけわかりやすく説明していきます。

1.「債権」とは?

債権は「ある特定の人に特定の行為を請求できる権利」となります。

一般的に債権という言葉が使われるのは「お金をもらえる権利」を指す場合が多いです。

例えば「AさんはBさんに対して100万円の債権がある」などという文章を見たことがある方も多いと思います。これは「AさんがBさんに対して100万円を請求できる権利がある」という意味です。

世の中の多くの人は、以下のように何らかの債権を持っています。

(1) 債権の例

典型的な債権の例は、「貸付金」「売掛金」でしょう。

貸付金は、その名の通り貸し付けたお金のことで、期日になったら「返してもらえる権利」があるお金です。

一方、売掛金とは、要するにツケで売った品物やサービスの代金です。こちらも期日になったら「ツケを払ってもらえる権利」があるため、債権の代表例と言えます。

また、私達が日常的に行う「預金」も立派な債権です。銀行の預金口座にお金を入れるだけで「銀行から利息を含めたお金をもらう権利」を得るからです。

(2) 債権の内容は金銭とは限らない

債権という言葉を使うときはお金が絡むことが多いため、「お金のやりとりが発生する場合にしか債権という言葉を使えない」と思いこんでいる方もいるようです。

しかし、それは違います。民法第399条には以下のように記されています。

「債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる」

債権とは本来、一般に認知されているよりも広い意味を持った言葉であることを覚えておきましょう。

2.「債務」とは?

一方、「ある特定の人に対して特定の行為を行わなければならない義務」を債務と言います。

仮に「BさんはAさんに対して100万円の債務がある」と言った場合、BさんはAさんに100万円支払う義務を負っている、という意味になります。

債権と同様に、債務もお金のやりとりの際によく使われる言葉ですが、お金が絡まないシーンでも債務という言葉を使うことは可能です。

例えば歌手のCさんがチャリティーコンサートに出演して、無償で歌うことを主催者と約束した場合、Cさんは「コンサートに出演して歌う義務」という債務を負うことになります。

お金を介さない日常的な例としては、物々交換や労働の対価がイメージしやすいかもしれません。

「あなたの本Aをくれたら私の本Bをあげる」と約束した場合、あなたは「本Bをあげる義務」という債務を負います。
「パソコンを直してくれたらご飯をおごる」と約束した場合などは、「ご飯をおごる義務」という債務を負うことになります。

3.債権と債務の関係

例えば文房具店で消しゴムを買った場合を想定してください。

この商取引において、「お金のやりとり」という部分のみに着目すれば、買主は「お金を払う義務」を負い、売主は「お金をもらう権利」を有しています。
しかし「消しゴム」に注目した場合、買主は「消しゴムをもらう権利」があり、売主は「消しゴムを渡す義務」を負います。

基本的に一般的な商取引では、どちらにも債権があり、どちらも債務があるという関係にあります。債権と債務は表裏一体の関係なのです。

ちなみに「債権と債務ってどっちがどっち?」という混乱を防ぐための覚え方については、「債権が権利を持つ方」「債務が義務を持つ方」と、権利の「権」と義務の「務」で覚えるといいでしょう。

【当事者の一方にのみ債権または債務があるケース】
多くの契約では双方に債権と債務が存在しますが、以下のような例外もあります。
贈与:贈与をする側にのみ「何かを渡す」という債務が発生します。贈与を受け取る側には債務が発生しません。
消費金銭貸借:「お金を貸す・借りる」という契約がこれに当たります。お金を貸す側は、お金を貸した相手方に特段の債務を負うことはありません。しかしお金を借りた側には、「借りたお金と同額(+利息)の金銭を返す」という債務が一方的に発生します。

4.「債権者」と「債務者」の関係

債権を持っている人を「債権者」と言い、債務を負っている人を「債務者」と言います。

これまでの「債権」「債務」と同様に、債権者と債務者も着目するポイントによって変動します。

例えば「消しゴムを買う」という行為でも、お金のやりとりに着目した場合、買主はお金を払う債務者で、売主はお金を受け取る債権者となります。
しかし消しゴムに着目すれば、売主は消しゴムを渡す債務者であり、買主は消しゴムを受け取る債権者です。

債権者と債務者はお互いに義務を負い、権利を得る関係になります。

ただし、例えば「お金を貸す・借りる」という契約では、債務者が一方的に債務を負っているため、以下のような「債権が持つ効力」により債務者が不利な立場になることがあります。

(1) 給付保持力

「債権に基づいて給付されたものを返還しなくていい」という効力です。

例えば債権に基づいてお金を払ってもらった後で、債務者が「やっぱりそのお金返して」と言っても、債権者は給付保持力に基づいてこの要求を断ることができます。

(2) 訴求力

債務を履行しない債権者に対して、債権者が訴訟を起こして請求できる効力です。

債権を回収する際には、この訴求力と、次に説明する執行力が重要な効力となります。

(3) 執行力

訴訟で確定した債権の内容を、債務者にそのまま請求できる効力です。

また、強制執行によって債務者の財産を差し押さえすることができる効力も、執行力の一部です。

前者を特に貫徹力、後者を掴取力(かくしゅりょく)と言います。

(4) 損害賠償請求権

債務者が債務を履行しなかったことによって債権者に損害が出た場合、債権者は生じた損害の賠償を請求できる権利を有します。

例えば歌手を呼んでコンサートを開こうとしたのに、当の歌手が一方的な都合で当日現れなかったとします。コンサートの興行主である債権者は「コンサート開催日に来て歌う」という債務を履行しなかった歌手に対して、損害の賠償を請求することができます。

(5) 契約の解除

債務者が約束した通りの債務を履行しない場合、債権者は契約の解除をできるケースがあります。

ただし、お金を貸す契約においては、契約を解除すると貸したお金が返ってこなくなるかもしれません。
そのため分割返済にしていた契約を変更して、一括返済に切り替えるケースが多く見られます。

5.債権の回収には債権の効力の利用が大事

何が債権で何が債務なのかは、目をつけるポイントによって異なるので注意が必要です。
ただし、日常的な用語として使う分には、「債務=借金」「債権=借金を返済してもらう権利」という認識でも、大きな支障はないでしょう。

もし債務者が債務を履行しない場合、債権者は債権が持つ効力を使うことで債権を回収できます。

例えば「訴求力」を行使して裁判を起こし、裁判の判決を踏まえて「執行力」によって債務者の財産を差押えすれば、法的に問題なく債権を回収することができます。

裁判を起こす場合は、弁護士に依頼することが一般的です。弁護士が債権回収に乗り出したと債務者に伝わるだけで、裁判の前に債務者が慌てて弁済に応じる可能性もあります。

債権回収は弁護士に相談するところが出発点です。
債権回収の知識豊富な泉総合法律事務所まで、ぜひご連絡ください。

関連するコラム
19 23
【電話受付】平日9:30〜21:00 / 土日祝9:30〜18:30