不動産業
破産申立前に適切な資産の処分を行った事例
借入理由
売上減少による資金不足
負債総額 |
約3,000万円 |
---|---|
債権者数 |
20名 |
ご相談後の負債総額 |
0円 |
[事例29]
債務発生から相談まで
代表者様の会社は、地域密着型の営業を主として事業を行っておられました。しかし、インターネットの普及で顧客が流出し、売上が減少していきました。しかし、地域密着型の営業方針を崩さずに営業を継続されておりました。このため、代表者様は、個人名義で借入をして資金を補填したり、会社名義でも融資を受けたりして資金繰りを行っておられました。ただ、この方針と経営状況から、従業員の退職が進み、最終的に営業継続が厳しくなりました。そこで、当事務所に事業継続の方法について相談を行われました。当事務所では、現在の負債状況と資金繰り見込みを分析し、営業継続による資金ショートが予想されたため、破産申立による清算をご提案いたしました。代表者様は、その場で決断ができませんでしたが、後日、ご検討された結果、破産申立を決断し、ご依頼をいただく形となりました。
弁護活動の内容
本件は、営業用の車両を複数台所有され、その車両の駐車場も賃借されており、車両の保有が続くと駐車場代金の支払も継続しなければならず、また、事務所も賃借したままで、賃料の支払をなくすためにも明け渡しを早期に行う必要がありました。ただ、申立の費用等を分割で準備いただいたため、早期に破産申立を行うのは困難でしたので、不当な処分にあたらないように車両の適正価格を調査して売却を進め、駐車場の明け渡しも進めました。事務所についても、中の設備等の処分を適正に行い、明け渡しを進め、保証金も一部回収することができました。
そして、費用等も準備が整い、破産申立を行うに至りました。
結果
資産処分等について、破産管財人や裁判所からの指摘等もなく、滞りなく、事件が終了いたしました。
弁護士からのコメント
破産申立前の資産の処分は、売却の場合は、本来の価値を損なって売却していないか、廃棄の場合は、資産価値があったものを廃棄して資産を逸失していないかなどがポイントとなります。本件は、適正な価格で処分、もしくは、廃棄処分を行うように、代表者様と協力して進めることができたため、問題なく事件が進んだ形でした。会社の設備などは、長年使用していて売却できないとお考えの方もいらっしゃいますが、客観的判断が必要となります。処分してしまった後に、裁判所から指摘を受けないように、自己判断なさらずに専門家に相談していただくことをお勧めいたします。