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債権転付命令のメリット、デメリット

債権を回収できる手段の中には、意外と一般に知られていないものもあります。
その1つが債権転付命令(さいけんてんぷめいれい)かもしれません。

債権回収の実務ではよく用いられる債権転付命令には、メリットもあればデメリットもあります。

一体どういったメリットとデメリットがあるのか、本記事で説明していきます。

1.債権転付命令とは?

まずは債権転付命令(以下、転付命令)について簡単に説明します。

転付命令は、債務者が持っている債権を、債務者の債権者に移す手続きです。裁判所に申立てをして行います。

この記事ではイメージしやすい例として「債権者」「債務者」「債務者の預金がある銀行」の3者が登場します。
銀行は債務者に対して「預金を返すという債務」があるため、債権者から見て「債務者の債務者」、つまり「第三債務者」となります。

債権者が裁判所に転付命令の申立てを行い、転付命令が銀行に送達されると、「銀行の預金債権そのものが債権者に移される」という効果が発生します。結果として、債権者は銀行から直接返済を受けられるようになります。債務者を介さずに債権を回収できるので、非常に便利な方法です。

転付命令は、債権者から見て第三債務者に当たる者が存在すれば、その者に対して実行できます。実務上は債務者の口座がある銀行に対して行うことが一般的です。

転付命令についての詳細は、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事] 債権差押における転付命令とは

2.転付命令のメリット=弁済の独占

上記を読んで「転付命令と差押えって何が違うの?」と思った人もいるでしょう。
転付命令には、差押えにはないメリットがあります。

まず、差押えは、裁判所から債務者に送達されてから1週間経たなければ、債権の取り立てができません。せっかく差押えをしても、取り立ての前に差押えが競合する可能性があるのです。

複数の差押えが1つの債権(この場合は債務者の預金債権)に競合した場合、裁判所は「債権者平等の原則」に従って、各債権の額に応じて按分して配当することになります。

そのため自分の債権が100万円で、債務者の口座に100万円あったしても、「口座内の現金が十分あるから全額回収できる」と油断してはなりません。
後から差押えに入った別の債権者の債権額が900万だった場合、9:1に按分されて、預金総額の10分の1である10万円しか回収できないこともありえます。

加えて、送達時に債務者が不在で受け取らないなどの事情があると、債権回収までの期間がさらに伸びてしまいます。

一方の転付命令は、確定すると、命令が第三債務者に送達された時点から効力を生じます
その後に別の債権者が登場しても、転付命令が確定しているため、その債権者が行った差押えは無効となるのです。

つまり転付命令を得た債権者が、債務者の預金口座の残高から可能な限りの弁済を受けることができます。他の債権者を排除して、弁済を独占できるのです。

ただし、転付命令が第三債務者に送達されるまでに他の債権者が差押えなどのアクションを起こせば、転付命令の効果はなくなります。
これに備えて、実務上は転付命令と差押えを同時に裁判所に申立てすることが多いようです。

3.転付命令のデメリット=第三債務者の無資力リスク

転付命令が送達された後は、債権者が銀行などの第三債務者に直接請求して債権を回収できます。

このとき、転付命令によって、債権者と銀行との関係は「債権者と第三債務者」ではなく、「債権者と債務者」という形に変わってしまいます。元々の債務者は関係のない存在になってしまうのです。

そのため、もし第三債務者が無資力だったり倒産してしまったりした場合、債権者は債権を回収できなくなります。それどころか元の債務者との関係もなくなっているため、元の債務者への請求もできません

転付命令が主に銀行に対して行われる理由がここにあります。銀行がいきなり倒産するリスクは少ないですし、銀行側が「無資力で払えない」ということもないでしょう。
銀行ならば、リスクを抑えつつ債権を回収できるのです。

【口座内に預金残高がなければどうなる?】
「転付命令を受け取った銀行の債務者の口座内に残高がなければどうなるの?」と心配になった人もいるはずです。
例えば100万円の債権を回収するために転付命令を使ったのに、債務者の口座内に30万円しかなかったとします。この場合は当然ながら30万円しか回収できません。「元の債務者との関係が切れているから、残りの70万円は請求できないの?」と思うかもしれませんが、ご安心ください。
転付命令によって元の債務者に請求ができなくなるのは、「転付命令で確保した預金債権の額」までです。上記の例で言うと、100万円の債権のうち30万円を転付命令によって預金債権から確保した債権者は、残りの70万円を元の債務者に請求できます
これは第三債務者が銀行でない場合でも同じです。例えば100万円の債権を持つ債権者が、債務者に対して20万円の売掛債権を持つ第三債務者に転付命令をしたとします。ここで第三債務者が倒産してしまうと、20万円は回収不能になりますが、80万円分は元の債務者に請求可能です。

4.転付命令は早く&独占的に債権を回収できる方法

転付命令は、送達から取り立てを開始できるまでの期間が差押えよりも短く、他の債権者を排除しながら債権を回収できる可能性の高い、便利な方法です。
債務者が売掛債権やその他の債権を持っていなくても、預金債権なら持っている可能性が高いので、そういった意味でも使い勝手が良いでしょう。

実務上は、他に転付命令や差押えを行っている債権者がいることを見越して、転付命令と差押えを同時に行うことがあります。

両方の手続きを同時に行うのは非常に難しいため、専門家である弁護士に依頼して代行してもらってください。

泉総合法律事務所には、差押えや転付命令を含めた、債権回収に関する知識が豊富です。債権回収のお悩みは、ぜひ当事務所にご相談ください。

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