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債権回収の重要知識

支払督促で時効を更新できる!

貸したお金を返してもらう権利、すなわち「貸金債権」は、債権者が一定期間行使しないと消滅時効にかかります。

しかし、消滅時効は、時効期間が経過すれば自動的に効力が生じるというものではありません。
時効を有効にするには、債務者が債権者に対し、「消滅時効が成立しているので支払いません」と伝えなければならないのです。これを、時効の「援用」といいます。

債権者は、消滅時効にかかる前、あるいは債務者が時効の援用をする前に、借金の時効を「更新」することが可能です。
時効の更新は民法147条に定められており、更新事由がある場合は、その時点から再度カウントされることになります(改正前民法における「中断」です)。

債権を確実に回収するために忘れてはならない時効の更新ですが、更新のための手段はいくつかあり、その一つが「支払督促」です。

この記事では、支払督促による時効の更新(中断)について解説します。

1.借金(貸金債権)の消滅時効

2020年4月1日に施行された現行民法では、あらゆる短期消滅時効を廃止し、消滅時効期間を以下のとおり統一しました(民法166条1項)。

  • 権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年
  • 権利を行使することができる時から(客観的起算点)10年

なお、主観的起算点と客観的起算点は一致することが多く、消滅時効は実質的に10年とされるケースが多くなると考えられます。

この時効期間は個人の取引であっても、商事取引(簡単に言えばビジネスで行った取引)であっても変わりません。

【民法改正前の契約について】
時効に関する改正後の法律が実際に適用される対象は、改正後(2020年4月1日以降)の法律行為に基づく債権債務となります。
例えば、貸付をしたのが2020年3月31日以前であれば旧法が適用され、同年4月1日以後であれば改正法が適用されます。
旧法では、債権は「10年間行使しないときは消滅する」と定められていますが、費者金融のキャッシングやカードローンなど、貸金業者からの借金については、時効は5年です。

2.時効の「更新」とは?

貸金債権が消滅時効にかかっている場合、債務者が時効を「援用」することによって、債権者は権利を行使することができなくなります。
すなわち、債務者は借りたお金を返さなくて済むことになるのです。

しかし、消滅時効の完成を阻止する方法はあります。時効の「完成猶予」または「更新」を行うのです。

  • 時効の完成猶予:消滅時効の進行を一時的にストップさせること
  • 時効の更新:消滅時効期間をリセットし、0からカウントし直すこと

現行民法で定められている、時効の完成猶予および更新の事由は、以下のとおりです。

<時効の完成猶予>

  • 裁判上の請求、支払督促、和解、調停、倒産手続参加(民法147条1項)
  • 強制執行、担保権の実行、競売、財産開示手続、第三者からの情報取得手続(民法148条1項)
  • 仮差押え、仮処分(民法149条)
  • 履行の催告(民法150条)
  • 協議による合意(民法151条1項)

 

<時効の更新>

  • 裁判上の請求、支払督促、和解、調停、倒産手続参加をした後、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したこと(民法147条2項)
  • 強制執行、担保権の実行、競売、財産開示手続、第三者からの情報取得手続が終了したこと(民法148条2項。ただし、途中で取下げまたは取消しにより手続きが終了した場合を除く)
  • 権利の承認(民法152条1項。旧民法下の「債務の承認」と同義)

実際に債権の消滅時効の完成を阻止したい場合、まずは履行の催告をすることがお勧めです。内容証明郵便による履行の催告を行うと、内容証明郵便の到達から6か月間、消滅時効の「完成が猶予」されます(民法150条1項)。

しかし、内容証明郵便の送付による時効の完成猶予は1回きりであり、2回目以降は時効の完成猶予の効力が生じません(同条2項)。

催告をしても支払いがない・無視をされる場合、時効の更新手段として訴訟の提起やそれに続く強制執行が考えられます。
しかし、訴訟は時間や手間がかかりがちです。確定判決までの間に援用手続きをされてしまう可能性もあるでしょう。

そこで、多くのケースでは、簡易な「支払督促」による時効の更新を目指すことをお勧めします。

3.支払督促の確定による時効の更新

支払督促は、簡易裁判所で行う手続きです。裁判を経ない簡易的なやりとりで債務者に債務の弁済を求めることができます。

債権者が支払督促を行うと、「仮執行宣言付き支払督促」というものが裁判所から債務者へ送られます。送達後2週間以内に債務者が異議の申立てをしない場合は、支払督促が確定して「時効が更新」されます。

なお、債務者が不在などで送達を受け取れなかった場合は、「付郵便送達」という方法が行われることがあります。これは債務者の手元へ実際に郵便物が届かなくても、郵便物の発送時に債務者に届いたとみなす制度です。

付郵便送達が使われると、債務者に書類が届かなくても支払督促が有効に行われるため、債務者が督促異議の申立てができず、これにより時効が更新されます。

このように、支払督促は手間も少なく、送達が行われずとも強制的に時効の更新ができる有効な手段なのです。
もっとも、時効完成前に行わなくてはなりませんので、急いでご対応ください。

[参考記事] 支払督促とは|やり方などをわかりやすく解説

4.時効の更新は弁護士へ相談を

繰り返しますが、時効の援用を阻止する方法は支払督促だけではありません。それぞれの債権債務のケースによって最善の方法は異なります。
確実に時効の完成を阻止する措置をとりたい場合には、弁護士にご相談いただくのが安心です。

弁護士は、内容証明郵便の送付(履行の催告)や支払督促だけでなく、訴訟準備・訴訟提起の一連の手続きも迅速に進め、消滅時効の完成を阻止します。

[参考記事] 債権回収の消滅時効は?時効期間・完成阻止の方法

債権回収に当たって、債務者が消滅時効を援用するのではないかと不安に思っている方は、一度弁護士までご連絡ください。

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