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債権回収の重要知識

代理受領を利用した債権の回収方法

債権を回収する場合、債務者から直接取り立てようとすることが多いでしょう。

しかし、実は債務者や、債務者の保証人以外の人からでも債権を回収できる方法があります。それが「代理受領」です。

代理受領を活用すれば、債務者にお金がなくても、債務者に対して債務を負っている会社から債権の取り立てができます。

本記事では代理受領の概要や、代理受領に必要な契約書の書式などについて解説していきます。

1.代理受領の概要

例えば、債権者Aが債務者Bに取り立てを行ったとします。しかし、債務者Bの手元には現金がなく、債務の弁済ができません。

ここで、債務者Bが取引先Cに対して売掛金等の債権を持っていることが判明しました。Aから見てCは「自分の債務者に対して債務を持っている者」となります。
こういった人のことをAの立場から「第三債務者」と呼びます。

[参考記事] 第三債務者とは|差押債権の取立に応じない場合はどうする?

自分に対して取り立てを行って欲しくないBは、Aに対して「自分(B)がCに対して持っている債権を、AがCに直接取り立ててください」と頼んだとします。
あるいはAがBに対して「BがCに対して持っている債権を、Bの代わりに自分(A)が取り立てる」と申し出たとします。

どちらから言い出したとしても、AとBとの間で合意が取れれば内容は同じです。
このときBはAに、Cへの取立てを「委任」することになります。

Aは委任に基づいてCからBの債権を回収し、自分(A)の債権と相殺して、残った部分をBへ渡します。

以上が代理受領の大まかな内容です。

【代理受領はどのように法律で定められているの?】
代理受領については、民法などに明文の規定はありません。しかし債権者(上記の例ではB)が第三者(上記の例ではA)に受領の権限を与えて、自分の債権の弁済を受領させる行為は、実務上広く用いられています。
強いて言えば、代理受領の際は「自分の債権の取り立てや受領を『委任』する」ため、民法643条などに定めがある委任に関する条文が根拠となります。

2.債権譲渡・受領委任との違い

「代理受領」「債権譲渡」「受領委任」の3つは言葉や仕組みが似ているため混同されやすいです。それぞれの違いを説明します。

(1) 債権譲渡

債権譲渡は「債務者が自己の持つ債権を渡す」ものです。債権を譲り受けた者は、それを自己の債権として取り立てを行います(民法466条)。

先の例で言えば、債務者Bが債権者Aに、Bが第三債務者Cに対して持っている債権を譲渡します。譲渡を受けたAが、自己の債権を回収するためにCへの取り立てを実行する、という構図となります。

これに対して代理受領の場合、Aが取り立てる債権はあくまでBの債権です。AはBから「Bの債権をCから取り立てる」ことを委任されただけに過ぎません。
AがBに対する債権を持っているために、Cから取り立てた債権をBへ渡す前に相殺できるだけです。

債権譲渡と代理受領では、第三債務者に対して取り立てを行う債権が「誰の債権なのか」が異なることに注意してください。

(2) 受領委任

こちらは療養費などの支払いに用いられている全く別の制度です。

厚生労働省が全国共通の制度として、柔道整復、はり、きゅう及びあん摩マッサージ施術などについて「受領委任」を定めています。

なお、似た仕組みに「法定代理受領」というものがありますが、こちらは介護保険などで使われるサービスです。本記事のテーマである債権回収とは関係ありません。

3.代理受領による債権回収の流れ

それでは、代理受領を活用した債権回収の流れを見ていきましょう。

(1) 債務者から委任を受ける

まずは債権者が、債務者が第三債務者に対して有する債権の取り立てと、支払いの受領する旨の委任を受けます。

ここで委任契約を締結し、以下のような内容を定めます。

  • 債務者は債権者に、第三債務者の債権の取り立てと受領を委任すること
  • 債務者は債権者の同意なしに委任を解除しないこと
  • 債権者が第三債務者から支払いを受けたときは、債務者が債権者に対して持つ債務の弁済に充当できること

委任は当事者の一方の意思で解除できるため、単なる委任状で委任を受けてしまうと、債権を回収する前に委任契約が解除されるおそれがあります。

一方的な解除を防ぐために、「債権者の同意なしで委任の解除はできない」という条文を必ず入れるべきでしょう。

(2) 第三債務者への通知

委任契約を締結したら、債権者と債務者が代理受領の合意をした旨を第三債務者に通知します。

債務者からの委任があれば、第三債務者の承諾がなくても、債権者は第三債務者に対して取り立てをして代理受領できます。

しかし第三債務者へ通知し、できれば承諾まで得られれば、事情を知らない第三債務者が誤って債務者に債務を弁済することを避けられます。

仮に第三債務者の承諾があったにも関わらず、第三債務者が債務者に弁済してしまった場合、債権者は第三債務者に対して責任の追及ができます。

承諾を得られるかどうかはともかくとして、まずは第三債務者への通知を行ってから取り立てを実行しましょう。

(3) 取り立て

取り立ての方法自体は通常の債権回収と変わりありません。

電話や書面での請求から始まり、応じない場合は内容証明での督促を行います。

4.代理受領委任契約書の書式

以下に契約書の例を掲載します。あくまで参考例ですので、できれば弁護士に依頼して事案に合わせた最適なものを用意することが望ましいです。

5.代理受領の検討は弁護士まで

代理受領を使えば債権の回収がスムーズに行くケースもありますが、注意点も多いのが実情です。事前に弁護士と協議して実行に移すかどうかを検討してください。

泉総合法律事務所は、債権回収のお悩みについても相談を承っております。どうぞお気軽にご連絡ください。

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