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財産開示手続

民事執行法とは?改正後の第三者からの情報取得手続を解説

2020年4月1日に施行された改正民事執行法により、債務者財産の開示に関する制度が拡充され、債権回収をスムーズに実現できる可能性が高まりました。

債務者による債務の不払いに悩んでいる方は、弁護士に相談のうえ、民事執行法の新しい制度を駆使して早めに債権回収を図りましょう。

この記事では、「第三者からの情報取得手続」を中心として、2020年改正民事執行法のポイントを解説します。

1.民事執行法とは?

2020年施行の改正法の内容を解説する前に、まずは「民事執行法」がどのような法律であるかについて、基本的な知識を備えておきましょう。

(1) 強制執行等について規定する法律

民事執行法は、主に強制執行の手続きに関するルールを定める法律です。

裁判の判決などで支払い義務が確定した場合、債務者は債権者に対して債務の弁済をする義務を負います。

しかし、債務者の中には任意に債務を弁済しない人もいるのが実情です。
その場合、債務者の財産を強制的に差し押さえて換価・処分することで、債権回収を強制的に図るのが「強制執行」の手続きです。

民事執行法は、強制執行が適正な方法・手続きによって行われることを確保するため、さまざまなルールを定めています。

(2) 強制執行には「債務名義」が必要

債務者の財産に対して強制執行を行う場合、「債務名義」と呼ばれる公文書が必要になります(民事執行法22条)。

債務名義として認められているものは、以下のとおりです。

  • 確定判決
  • 仮執行宣言付き判決(未確定のもの)
  • 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(保全事件に関する決定など)
  • 仮執行宣言付き損害賠償命令
  • 仮執行宣言付き届出債権支払命令
  • 仮執行宣言付き支払督促
  • 訴訟費用等の額を定める裁判所書記官の処分
  • 強制執行認諾文言が記載された公正証書(執行証書)
  • 確定した執行判決のある外国裁判所の判決
  • 確定した執行決定のある仲裁判断
  • 確定判決と同一の効力を有するもの(和解調書、調停調書など)

代表的なものは「確定判決」で、訴訟での判決が確定した場合は、そのまま強制執行手続きに移行できます。

また、和解調書や調停調書にも「確定判決と同一の効力」が認められているため、各調書を債務名義として強制執行の手続きをとることが可能です。

[参考記事] 債務名義とは|取得方法・時効など

(3) 強制執行の対象財産は債権者側で特定

強制執行の手続きをとる際に最大のネックとなるのは、対象財産を債権者側で特定しなければならない点です。

債務者の財産に関する情報を債権者がよく把握しているケースは稀であり、債権者は、債務者がどのような財産を所有しているかを手探りで調べなければなりません。

実際には、債務者財産を十分に特定できず、債務名義を得たのに債権を回収できないケースが多いことが問題になっていました。

【従来の民事執行法の問題点|財産開示手続が不十分】
強制執行の申立てに先立って債務者財産を特定するのに役立つ制度としては、従来から「財産開示手続」が存在しました。しかし、法改正前の財産開示手続は、債務者財産の特定に関する実効性に乏しいことが指摘されていました。
財産開示制度では、裁判所や強制執行の申立人から債務者に対して質問が行われます。債務者は原則として質問に答えなければならず、陳述義務に違反した場合には「30万円以下の過料」に処されることになっていました。
しかし、過料は刑事罰ではなく行政上の制裁であり、債務者に対する陳述拒否の抑止力に乏しい面があります。
また、債務者が嘘をついているのかどうかを判断する材料も乏しく、財産開示手続によって債務者財産を特定できるケースは少ない実情がありました。

2.民事執行法改正による「第三者からの情報取得手続」

2020年の民事執行法改正では、債務者財産の開示に関する手続きの実効性を高めるため、新たに「第三者からの情報取得手続」(民事執行法204条以下)が設けられました。

(1) 公的機関や金融機関から情報取得できる

「第三者からの情報取得手続」では、債務者財産に関する情報について、債務者本人ではなく保有する公的機関や金融機関に対し提供命令が行われます。

公的機関や金融機関が保有・提供する情報は正確性が高く、また債務者本人とは異なり、情報提供を拒否される心配もまずありません

そのため、第三者からの情報取得手続を利用することで、債務者財産を高い確度で特定できるメリットがあります。

(2) 開示を受けられる情報

第三者からの情報取得手続きにより債権者が開示を受けられる情報は、以下の3種類です。

①債務者の所有する不動産に関する情報(民事執行法205条1項)

法務局の登記所に対して、債務者所有の土地・建物等に関する情報提供命令が行われます。

債権の種類にかかわらず利用できます。

②債務者の給与債権に関する情報(同法206条1項)

市町村や公的年金を取り扱う機関に対して、債務者の勤務先等に関する情報提供命令が行われます。

扶養義務等に係る定期金債権、または人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の債権者のみが利用できます。

③債務者の預貯金等に関する情報(同法207条1項)

銀行などの金融機関に対して、債務者の預貯金口座等に関する情報提供命令が行われます。

債権の種類にかかわらず利用できます。

(3) 「第三者からの情報取得手続」の流れ

第三者からの情報取得手続を実施する際には、その前段階として踏まなければならないステップがあります。

第三者からの情報開示手続を利用する際のおおまかな流れは以下のとおりです。

①債務名義を取得する

第三者からの情報取得手続を利用する前提として、まずは前述の「債務名義」を取得する必要があります。

なお、2020年の民事執行法改正により、財産開示手続・第三者からの情報取得手続を申し立てる際に必要となる債務名義の種類の制限が撤廃されました。

そのため、確定判決等に限らず、仮執行宣言付き支払督促や執行証書などの債務名義に基づいて財産開示手続の申立てができるようになりました。

②財産開示手続を申し立てる(不動産・給与債権に限る)

債務者所有の不動産・給与債権について第三者からの情報取得手続を行う場合、財産開示手続を先行させることが必須とされています(同法205条2項、206条2項)。

これに対して、預貯金債権に関する第三者からの情報取得手続を申し立てる際には、財産開示手続きを経る必要はありません。

財産開示手続の申立先は、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所です(同法196条)。

財産開示手続が開始されるためには、強制執行によっては完全な弁済を受けられなかったこと、または知れている財産に対して強制執行をしたとしても、完全な弁済を得られないことを疎明することのいずれかが必要です(同法197条1項)。

[参考記事] 財産開示手続とは|流れは?無視された場合はどうする?

③第三者からの情報取得手続を申し立てる

上記の各ステップを経た後、債権者(強制執行の申立人)は第三者からの情報取得手続を申し立てることができます。

第三者からの情報取得手続の申立先は、財産開示手続と同様に、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所です(同法196条)。

申立ての際には、執行力のある債務名義の正本を裁判所に提出する必要があります。

3.強制執行・債務者財産の開示は弁護士に相談を

債務者が任意に債務を支払わない場合、訴訟・強制執行の手続きをとることにより、債権を強制的に回収できます。

特に2020年の民事執行法改正以降は、第三者からの情報取得手続が整備されたことにより、強制執行による債権回収の実現可能性が高まりました。

弁護士にご相談いただければ、裁判所が関係する専門的な訴訟・強制執行の手続きを全面的に代行し、スムーズに債権回収が完了するようにサポートいたします。
債権回収にお悩みの方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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