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代物弁済予約とは|契約書の作成などわかりやすく解説

「債務者がお金を持っていないから債権を回収できない!」
こういった悩みを抱えている債権者の方も多いでしょう。

しかし、債務者が金銭を持っていない場合でも、他の方法で債権を回収できる可能性があります。有名なのは「抵当権」などですが、それ以外にも「代物弁済予約」という方法があります。

とは言え、代物弁済予約を利用したことがない人、内容を知らない人も多いはずです。
本記事では「代物弁済予約」について解説していきます。

1.代物弁済予約について

代物弁済予約を理解するために、「代物弁済」と「予約」の意味について解説していきます。

(1) 代物弁済とは?

債務者が弁済に十分な金銭を持っていない場合、「金銭以外の物で弁済する」という仕組みがあります。お金の「代」わりに「物」で「弁済」するため、これを「代物弁済」と呼びます。

わかりやすく言えば、お金の代わりに何らかの物を「借金のカタ」として提供してもらうことが代物弁済です。借金のカタのことを、通常は「担保」と呼びます。

不動産や動産など形のある物だけでなく、債権など形のないものも代物弁済の対象にできます。

(2) 代物弁済の「予約」とは?

いざ弁済期になっても、そのときの債務者に一切の資産がない状態では、金銭による弁済はもちろん、代物弁済に使える物もないことなります。これでは債権を回収できません。

そこで将来の不払いに備えて、予め「期限になっても弁済できない場合は、担保にした物の所有権を債務者から債権者に移転する」という合意をしておきます。これが代物弁済の「予約」です。

こうすることで金銭の支払いがなくても、代わりに担保にした物を受け取れるため、「弁済期になったのに何の弁済も受けられない」という最悪の事態を防ぐことができます。

2.代物弁済予約のメリット・デメリット

代物弁済予約にはメリットとデメリットが存在します。

(1) 代物弁済のメリット

競売が不要

例えば抵当権を実行した場合、裁判所に申立てをして抵当権を設定した物を競売にかける必要があります。

競売の手続には時間がかかるため、すぐに債権を回収できるわけではありません。また、債権の回収は競売の売却価格から行うため、売却価格が低いと想定した額より少ない金額しか回収できないこともあります。

これに対して代物弁済は、債務者から目的物を直接受け取ることができます。目的物を迅速に回収できますし、しかるべき方法で売却すれば時価相当額の金銭を入手することも可能です。

約束をした物の売却や処分を防ぐことができる

代物弁済の契約をしても、担保にした物を売却されたり処分されたりすると、弁済期になったときに引き渡しを受けられません。

これを防ぐために、代物弁済予約をする際は後述する「担保仮登記」を行います。債務者は担保仮登記された物を勝手に売却したり処分したりすることができません。

仮登記を行うことで、債権が回収できる確率をアップさせることができます。

(2) 代物弁済のデメリット

受け取る物の価値が弁済額未満のことがある

代物弁済は、物が債権者に受け渡された時点で弁済が終わったことになります。その物の価値が弁済額に満たなくても弁済完了となってしまうのです。受け取る物の価値が代物弁済予約をした時点より下落していた場合は満足な弁済を受けられません。

これを防ぐために、不足分を支払ってもらえる特約を契約書に盛り込むなどの対策が必要となります。

なお、もし債権者が差額分を請求しない場合、債務者は得をしたことになります。しかし得をした部分は「利益があった」ということになるため、債務者は利益に応じた法人税を支払わなければなりません。

また、代物弁済をすると「物を売ってその売却価格で返済した」とみなされます。物を売るということは資産を譲渡して所得が生じたということです。債務者は消滅した債務に応じて譲渡所得税を支払う必要があります。

受け取る物の価値が債権額を上回ることがある

上記とは反対に、受け取った物の価値が債権額よりも高額になることも考えられます。この場合は債権者が差額分を債務者に支払います。そうしなければ、債務者が「不当利得返還請求」というものを起こした場合、債権者に所有権が移転されません。

債務者が不当利得返還請求をしない場合でも、債権額を上回る部分は「贈与を受けた」という扱いになるため、債権者は贈与税を払う必要があります。

また、不動産を得た場合、債権者は不動産取得税を払わなければなりません。

手続きにやや時間かかる

仮登記担保の場合、抵当権の実行などよりも手続きの期間は短いですが、目的物の所有権が移るまでは債務の不履行が発生してから2ヶ月以上の時間がかかります。

債務不履行の発生後、債権者は担保不動産を鑑定して、その評価額を債務者に通知することになっています。
不動産価額が債権額に対して過不足がある場合、差額分を清算金として債権者から債務者へ支払う、または債務者から債権者へ支払って欲しい旨を通知します。清算金がなければその旨を通知します。

通知から2ヶ月は「清算期間」と呼ばれ、債務者が反論するための期間となります。債務者は期間内に不動産価額や清算金を精査し、不満がなければ清算金の処理をします。そして清算期間の終了時に、ようやく担保不動産の所有権が債権者に移ります。

債務者が清算金に納得できない場合は、清算期間中に債務を弁済して債務を消滅させることができます。
清算期間後でも、債権者から清算金を受け取る前であれば、債務と同額の金銭を債権者に支払って不動産を取り戻すことが可能です。

債権の場合は対抗要件が必要

債権を受け取る場合は、債務者本人から第三債務者(受け取った債権の債務者)に通知をしてもらう必要があります。この通知がないと、債権者は第三債務者に対抗できません。

対抗できないとは、債権者が第三債務者に弁済を迫っても「債権譲渡のことなんて知らない」と一蹴されてしまうということです。

他に対抗要件を得る方法として、第三債務者から債権譲渡の承諾を得るか、債権譲渡登記制度を利用する方法があります。
債権譲渡登記制度の詳細は法務省のページをご参照ください。

仮登記に費用が必要

不動産の所有権移転請求権仮登記には不動産価格の1%相当額の登録免許税が必要です。

本登記の半額ですが、不動産の価値によってはかなりの費用になってしまいます。

3.代物弁済予約で必要な書類・契約書と書き方

ここからは、代物弁済に必要な書類について紹介します。

(1) 代物弁済予約契約書

まずは債権者と債務者で「代物弁済予約の契約書」を作成する必要があります。
以下に雛形を示しますので適宜改変してお使いください。

まずは債権者と債務者で「代物弁済予約契約書」を作成します。

この契約書は印紙税の課税文書に当たるケースもあり、その場合は代物弁済で消滅する債務の金額に応じた印紙を貼付します。ただし消滅する債務の額よりも代物弁済の目的物の価額が高く、債権者が差額を債務者に支払う契約の場合は、債務額に差額を加えた金額が印紙税の課税対象となります。

例えば債務者が800万円を支払う代わりに1000万円相当の土地を引き渡し、債権者が債務者に差額の200万円を支払う契約の場合、1000万円に対して印紙税が課税されます。

以下に代物弁済予約契約書の雛形を示します。適宜改変してお使いください。

(2) 所有権移転請求権の仮登記

契約書の作成完了後、所有権移転請求権の仮登記を行います。

代物弁済の内容が不動産の場合は不動産の所在地を管轄する法務局で申請します。債権者と債務者が一緒に法務局まで出向いて申請してください。

一般的な必要書類を以下に記します。

  • 登記申請書
  • 債務者の印鑑証明書
  • 債権者と債務者の会社謄本
  • 代物弁済契約書
  • 登記委任状(弁護士や司法書士に依頼した場合)
  • 登記識別情報(不動産の場合)
  • 譲渡する不動産の固定資産価格証明書(不動産の場合)

4.代物弁済のことは弁護士へ!

代物弁済では何を代物弁済の対象にするべきか、契約書の内容はどうするべきかなど、考えることがたくさんあります。
登記も必要なため、専門家のサポートが不可欠です。

代物弁済を行う場合には、弁護士等の専門家に相談しましょう。

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